ニュース

浪費癖は脳の思い込みが原因。その対策は?

「半額」や「セール」の札に吸い寄せられたり、通販カタログを見ているうちに思わず注文してしまったり。浪費グセは「脳の思い込み」が原因だったのです。
  • 撮影・岩本慶三 文・一澤ひらり

体重の約2%の重さなのに体のエネルギーの約20%を毎日消費し続けているのが脳。負担が非常に大きいだけに、「脳はなるべく反射的に判断したり、重大な決断ほど先送りしたり、いつもどおり習慣的に考えようとするんです」と脳神経外科医の菅原道仁さん。

著書『そのお金のムダづかい、やめられます』(文響社)によれば、人体の最高司令官である脳は、実は怠け者で、いろいろラクをしたがるのがお金のムダ遣いになって反映されるという。

脳神経外科医の菅原道仁さん

「脳の思い込みに気づいて、脳を惑わす販売戦略を見抜けば、脳のクセは修正されて、本当に欲しいものだけを買うことができるようになります」

脳のクセを知り自覚を持てば、浪費は消えてお金は自然と貯まってくる。

【悩み】仕事や子育てでイライラしたり、夫とケンカをしたりすると、衝動買いをしてストレスを発散させています。

【対策】できれば3日、最低でも15分間、時間をおいて必要なものか判断を。

衝動買いした高揚感は、脳からドーパミンが分泌されて起こります。ドーパミンは「報酬系」といわれる神経回路が刺激されて大量に分泌され、脳は快感を覚えます。しかしその喜びの感情はすぐ消え、なぜこんなものを買ったのだろうという後悔に変化。衝動買いしそうになったら、少し間をおいて考え直してみることが大事。

【悩み】女子会で友人たちがデザートを注文しているのを見ると、お腹いっぱいでもつられて「私も!」と言ってしまいます。

【対策】人に合わせることをやめて、自分は自分というスタンスを持つ。

行列のできる店はおいしい店だと思ってしまうように、脳は周囲に合わせるというクセを持っています。それは大勢と同じ行動を選択していれば、労少なく大きなメリットが得られるからなのです。これを「バンドワゴン効果」と言いますが、裏を返せば思考停止状態。真に自分が欲しているものは何かをきちんと持つことが大切です。

【悩み】ランキング上位の人気商品や、大好きな女優さんがCMで薦める商品を買って後悔することが多いです。

【対策】人が薦めるものを鵜呑みにしない。CMは一歩引いた目で見て、商品をしっかりと吟味する。

集中的に繰り返されるCMや、ランキング1位などで喧伝される目立ちやすい特徴に影響されて、他の特徴についての評価が歪められてしまう脳のクセが「ハロー効果」。愛らしい犬や猫、好感度の高い女優、イケメンタレントなどを起用したCMの狙いはすべてこれ。商品分析をきちんとして買う習慣をつけることが肝要ですね。

【悩み】50%オフなど値引き率が高いと買ってしまうけれど、型落ち商品だったりしてすぐダメになってしまうことも。

【対策】セール品には必ず安い理由がある。それでも欲しいかどうか考える。

人は、セール品だったからやっぱり壊れた、と納得してしまうんです。脳は何かが起きると、それを予測可能だったと考えるクセがあり「後知恵バイアス」と言われています。壊れることを予測できたと思い込むことでストレスを減らそうとするんですね。単に50%オフにつられて買っていたなら、それはムダ遣いだと自覚するべきです。

【悩み】「限定品」「閉店」にとても弱いです。期間限定とか、閉店セールなどの文句を見ると早く買わなくてはと、焦りにも似た気持ちに襲われます。

【対策】あくまで購買意欲を煽るための手法だと認識して、罠に落ちない。

「心理的リアクタンス」といって、限定品などのように制限を受けると、余計に欲しくなってしまうんですね。たとえば閉店セールだと、脳が自動的に処理をして、〝閉店=在庫処分で安い〞と短絡的に考えてしまい、このお得な機会を逃してはいけないと思うし、次回来た時に買えないのを避けたくなるんです。惑わされてはいけませんよ。

【悩み】洋服を何着か試着すると、あまり似合わないかなと思っても、店員さんに悪いような気がして買ってしまうことが……。

【対策】自分の意思をはっきりとさせて「次回また来ます」と言える勇気を。

人には親切にされるとお返しをしたくなるという心理的作用があります。これを「返報性」と言います。試着して店員にサービスを受けたりすると、買わないと申し訳ないと思ってしまうんです。で、結果、箪笥の肥やしになってしまう。この「返報性」は売る側にとっては非常に有効な手段であることを認識しておきたいですね。

【悩み】3000円以上送料無料とあると、必要なものは2400円でも残り600円を適当に頼んで、送料無料にしてしまいます。

【対策】余計なものを買うことこそがムダ。無料サービスに惑わされない。

「無料」という言葉は脳にも大きな魔力となり、判断を鈍らせます。送料を含めた必要なものが3000円より安ければ不必要なものを追加することはないのに、つい余計なものまで買って3000円にしてしまいます。でも心底欲しいと望むものなら、送料の有無は無関係。送料分を損したと思うなら、買う必要はありません。

【悩み】夜中につい見るとはなしにテレビショッピングを見ていると、無性に欲しくなってきて思わず電話をかけています。

【対策】何気にテレビショッピングを見ない。電話する前にネットで商品の検索を。

テレビショッピングは行動心理学や脳科学を駆使して巧妙に買わせようと企みます。有名人に商品を薦められると「ハロー効果」で買いたくなるし、個数や時間の制限を設定されると「心理的リアクタンス」で欲しくなる。さらに特典がつくとお得感が増した気になります。脳のクセを知ることはお金を節約する最短の近道になります。

『クロワッサン』942号より

●菅原道仁さん 脳神経外科医/菅原脳神経外科クリニック院長。人生の目的を達成するための医療を目指して日々診療に当たる。著書に『身近な人に迷惑をかけない死に方』(KADOKAWA)。

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE
TAGS
#浪費癖