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【寝室・ワークスペース編】夫と賢くすれ違いながら生活するための間取りのヒント。

夫婦がうまくすれ違いながら生活ができる、理想的な間取り作りを一級建築士の水越美枝子さんに教えてもらいました。
  • 撮影・岩本慶三 文・芳沢祐子

夫の定年後に向けたリフォームを数多く手掛けてきた水越美枝子さん。

「その際、『夫の居場所を』とはよく言われるのですが、同時に妻の居場所も作るべきです。それまで妻が独占的に自由に使ってきたリビングやダイニング、キッチンが、妻だけのものではなくなりますから」

お互いの存在がストレスとならないよう、それぞれの時間、それぞれの空間の確保が必要となる。

「一人になりたい時は一人に。食事やお茶の時間はリビングやダイニングで一緒に過ごす。このくらいの距離が快適です。成功の鍵は、パブリックスペースであるリビングなどには、個人のものを置かないこと。いつもすっきりしていることで、くつろげる共有空間を維持することができます」

それぞれの居場所とくつろげるパブリックスペース。この両方があればお互いに心地よく暮らせる。この知恵、価値観の違いが露呈しやすい40〜50代の夫婦にもおおいに参考になる。

【寝室】基本は一緒がよいが、引き戸で部屋を仕切る方法も。

イビキが気になる、エアコンの設定温度が違う、就寝時間が異なる。こんな時、夫婦の寝室は別にすべき?

「寝室を別にしたら夫が引きこもりになってしまったという例も。病気の早期発見にも繋がりますし、基本は一緒がよいのですが。どうしても改善したい場合は、部屋を仕切るのはどうでしょう」

写真は引き戸を作った例。

「できれば閉め切らないほうがいいですね。息も気持ちも感じられる範囲のすれ違いが、夫婦長持ちの秘訣かも」

引き戸だから、仕切る範囲は自由自在。この例の夫婦の場合は、 寝る直前に引き戸を半分だけ閉めるようにしている。
引き戸は壁に収納できるようになっている。引き戸を仕舞えば、元どおりのひとつのベッドルームに。

【ワークスペース】天板が置けるなら、小さなスペースで居場所は作れます。

自分の趣味に没頭でき、自分のものをきちんと仕舞える。そんなワークスペースがあると便利。

「子どもが独立した後の余った部屋を夫の部屋としてリフォームすることが多いのですが、妻の場合は、キッチンやリビングに近いスペースで、家事と〝ながら〟ができるのが便利」

写真は、キッチンの奥に妻の読書スペースを、リビングの一角に洋裁スペースを作った例。

「余っている部屋がなかったり、マンションで大きなスペースが取れなくても、部屋のコーナーを利用すればいいんです。天板一枚置ければ、立派なワークスペースとなります」

ワークスペース例1.本を読んだり、書きものをし たりする場所として、キッチ ンの奥に設置。2畳ほどの小 さな空間でも満足度が高い。
ワークスペース例2.リビングの窓際にカウンターを設置、洋裁スペースに。引き 戸側がキッチンで、散らかって いるときなどは仕切ればOK。

『クロワッサン』940号より

●水越美枝子さん 一級建築士、キッチンスペシャリスト/新築・リフォームから、収納計画まで住まいづくりを提案。著書に『いつまでも美しく暮らす住まいのルール』ほか多数。

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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