新旧の離婚を扱った映画の中から、映画コメンテーターの有村昆さんがおすすめ作品を紹介。イラストレーターで離婚経験のある平松昭子さんと一緒に、作品の見どころや、お互いの離婚観について語り合いました。
既婚者も離婚者も必見、離婚映画から学ぶこと。
- 撮影・森山祐子 文・室田元美
有村 彼女の父親のジョン・ヴォイトは、『チャンプ』の主演だったアカデミー俳優なんですけど女グセが悪く、そのせいかアンジーも男を信じていないのかもしれないですね。“共演者キラー”と呼ばれて相手とすぐ恋に落ちちゃう。いま密かに次の恋人と囁かれているのがジョニー・デップらしい。
平松 アンジーにとって子どもは守るべきものだけど、夫は人生のオプションなのかな。私もそこはアンジーに似ているので自分は結婚に向かないと思ったんですよ。ご祝儀もらったのに別れて周りに迷惑かけるし、子どもにもつらい思いをさせちゃって。だからもう結婚はしないと決めたんですけど、アンジーはまだまだしそうですね(笑)。
有村 映画の中で「これは」と思ったのは、亀裂が入りかかった夫婦が隣の新婚夫婦を小さな壁穴からのぞき見するシーンがあって、はじめてふたりで一緒にのぞくという夫婦の共通項ができて、距離が縮まっていく。うちは夫婦でゴルフや買い物が好きなので一緒に出かけますが、亀裂が入りそうなときこそ共通の趣味を持っていたほうがいいですね。別にのぞき穴じゃなくていいけど(笑)。
平松 そう、ふたりで共有できることがあるほうが、絶対いいです。
有村 すれちがいの夫婦と、隣のラブラブのカップルっていうのがいい対比だったんですよね。アンジーが隣の男と寝そうになるシーンがあるんですけど、そこも離婚を暗示しているような作品だったと思います。
有村昆さん(以下、有村) 今回は、アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピット共演の話題作『白い帽子の女』について。実生活でも2人の離婚話がアメリカのタブロイド紙を賑わせていますけど、なぜ別れるのかという真相が映画に隠されている気がして。
平松昭子さん(以下、平松) 世界一有名なカップルですものね。映画もおしゃれでいいなと思いました。
有村 倦怠期を迎えてイライラしている夫婦の話なんですが、実はこの映画をハネムーンの時に撮ったんですよ。当時すでに離婚の予兆があったというのがおおかたの見方なんです。
平松 そうなんですか? 私はこの映画を楽しみにしていて、原題の「By the Sea」をイメージしてイラストも描き、けっこう盛り上がっていたんです。でも私自身も離婚する前に『黒い夫婦』っていうコミックエッセイを書いたので、アンジーの気持ちがわかるというか、とことんさらけ出しているのがなんか気持ちいい〜。映画と現実がごっちゃになって揺さぶられる事件なんですよね、あのふたりが別れるって。
有村 最近のアンジーは女優ではなく監督や国連の難民支援などに力を入れていて、ブラピも製作やスポンサーとして貢献しているので、彼にしてみれば「なんで?」だったでしょうね。
平松 かわいそう。アンジーはきっと野望が大きいんだと思う。理想がものすごく高い人っぽくて、世間に理解されなくてもやり遂げるというか。
有村 離婚の理由はブラピの酒癖やドラッグなどが上がっていますが……。映画でも飲んだくれるシーンが出てきますしね。
平松 アンジーはオーガニックとか好きそう。前の夫の血を飲みたいなんてことも言ってませんでした? ちょっと極端な感じもしますが……。
『白い帽子の女』
南フランスのリゾート地を訪れた、アメリカ人小説家のローランドと妻のヴァネッサは、心が離れたまま憂鬱なバカンスを過ごす。隣の部屋にハネムーンでやってきた若いカップルとの出会いが、ふたりを思わぬ方向に。アンジェリーナ・ジョリーとブラッド・ピットが監督、製作を手がけ、『Mr.&Mrs. スミス』以来10年ぶりの共演作。
『クロワッサン』940号より
●平松昭子さん イラストレーター、ファッションブロガー/雑誌やWEBでのおしゃれなイラストやコミックエッセイが人気。著書に『黒い夫婦』(メディアファクトリー)ほか。
●有村昆さん 映画コメンテーター/年間500本以上の映画を観賞、ラジオパーソナリティとしても活躍。2012年、キャスターの丸岡いずみさんと結婚。
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