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【後編】離婚にまつわるお金の話。

 文・石飛カノ イラストレーション・斎藤ひろこ(ヒロヒロスタジオ)
離婚にまつわるお金のことを弁護士の比留田薫さんに聞きます。

【養育費】公証役場で証書をきちんと作っておく。

子どもを引き取って離婚をした場合、養育費はしっかり確保したい。その金額は支払う側の経済力によって異なるが、生活に必要な最低限の額ではなく、離婚後も支払う側と同レベルの生活をするために必要な額と考えられている。とはいえ、平成26年度の司法統計によると、最も多い支払額は月額2万〜4万円。10万円以上支払っている人は、その1割5分にも満たない。現実はかなり厳しいのだ。

「子どもが成人するまできちんと払い続けられる人は本当に少ないです。養育費の取り決め、支払いの期間、金額、支払い方法などは公証役場で公正証書に明記するのがベストです。このとき執行認諾文言付きの公正証書を作ることがポイントです」

ただの公正証書では支払いが滞ったときに裁判所に調停の申し立てをしなければならず、なにかと面倒な手続きが必要になる。養育費を確実に得られる保障もない。一方、執行認諾文言付きの証書を作っておくと、裁判所が相支払うことがほとんど。ただ問題は、転職したときです。勤務先が分からないと給料の差し押さえができなくなりますし、私たち弁護士も調べられません。子どもにかかる費用をきちんと負担してもらいたかったら、相手の居所や勤務先は常に把握しておきましょう」

また、子どもの年齢によって養育費の見直しをすることもできるという。

「15歳未満と15歳以上では裁判所の養育費の算定が違ってきます。15歳になったときには養育費の見直しや増額の申し立てをすることができます。子どもの進学や病気、または子どもを育てている側が病気やけがで収入が減るといった場合には、養育費の増額協議に応じるという内容を公正証書に入れておくことも忘れずに」

【年金】年金事務所への届け出は2年以内に行う。

離婚の際の年金分割制度は、厚生年金(旧共済年金を含む)を対象にしたもので、夫婦ともに国民年金のみに加入している場合は対象外。請求できる期間は離婚後2年以内とされている。

従来は元夫が死亡すると年金支給は打ち切り。でもこの分割制度では、元夫の年齢に関係なく、妻が年金受給年齢に達すると年金が終身支給されるようになったことが大きなメリット。

この分割制度には2種類あり、2007年の4月から実施された「合意分割制度」と2008年4月から導入された「3号分割制度」がある。

結婚後、夫は第2号被保険者、妻が第3号被保険者であった場合の略図。 2007年4月1日以降に離婚した夫婦が、結婚していた期間に応じて、その 期間の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を最大½まで分割できる 制度が「合意分割」だ。なお、婚姻期間中に妻が第2号被保険者(会社員や 公務員)であった場合も合意分割できる。

前者は2007年の4月1日以降に離婚した夫婦が、婚姻期間の厚生年金報酬を話し合いで分割する制度。後者は専業主婦が対象で、2008年4月1日から離婚するまでの間、夫の厚生年金報酬の2分の1を無条件で受け取ることができる制度。

いずれも年金事務所に行き、分割のための情報通知書をもらうことが必須。3号分割は話し合いも調停もなく受け取ることができるが、離婚すると自動的に分割されるわけではないので、本人が年金事務所に行って手続きすることが必要となる。

「2008年以前に結婚して専業主婦だった人は合意分割と3号分割で分かれる部分が出てきます。合意分割に関しては協議離婚の場合、合意の内容を年金事務所に届けます。合意分割の届け出をすれば2008年以降の3号分割の届け出も自動的に受理されます」

『クロワッサン』940号より

●比留田薫さん 弁護士/大原法律事務所所属。離婚、相続、破産など民事全般を扱う。監修書に『必ずよくわかる! 離婚の手続き・すすめ方・お金』(主婦の友社)がある。

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