「台所道具は、使うのが一番の手入れなんです」と日野明子さん。使い込んでいくことで、道具に質感や味わいが生まれ、手にもしっくりと馴染んでくる。そうしてだんだんと、一生ものの自分の道具になると日野さんは言う。
「道具作りのプロたちの多くは、新品同様に常にピカピカにしておくことが正しいお手入れではないんだよ、と言います。長持ちさせるために、押さえるべきポイントはしっかりと押さえて手入れをし、風合いが変化していくのを楽しむ。道具とのそんな付き合い方をしていると、使い込むということの楽しさがわかってくるのではないかと思います」
使い終わったら無意識に洗って食器かごに置く包丁やまな板、鍋やざる。なんとなく洗っていることが、道具の寿命を縮めているとしたら? お気に入りの道具をより長く使うために、日野さんに正しいお手入れのポイントを教えてもらった。