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時間のない朝でもしっかり食べる
覚えておきたい知恵と時短ワザ。

バタバタしがちな朝の時間、本当はきちんとした食事をとりたい、と思っていませんか? 朝時間の使い方が上手な人の朝食レシピを教えてもらいます。

だしがきいた味噌汁、いろどりが目にもおいしい炒り卵。パンの上でとろけたチーズから、ふわっと湯気が……。
和・洋2種類の、惚れ惚れするような朝食を披露してくれたのは、料理研究家の川津幸子さん。

「日によりますが、だいたい6時くらいに起きますね。新聞を読んだり、ちょっとゆっくりしてから、ごはんの支度を始めます」

驚いたのは、その支度があっという間だということ。いったい、どんな秘密があるのだろうか。

「朝起きてすぐに、手の込んだものを作ってたら、疲れちゃうじゃないですか。卵を焼くにしても、だし巻きにしなきゃ、と思うとちょっと気が重いけど、だったら巻かなくていいや、と開き直ってもいいじゃない(笑)。今日は、明太子と合わせて炒り卵にしました。そのほかも、自分が実際に作ってみて、これは簡単でいいなと思ったものです」

「だし巻きが面倒だったら、炒り卵にします」と川島さん。
「だし巻きが面倒だったら、炒り卵にします」と川島さん。


また、作り置きを活用することも、手早い準備のコツ。

「さけそぼろは、20年近く前からずっと作り続けているんですけど、実にお役立ち。鮭って、安いしいつでも手に入りますよね。そぼろにするなら、上等な鮭じゃなくてもおいしくなるし。ごはんにたっぷりのせて、ねぎと海苔と胡麻をかければ、それだけでごはんがいくらでもいけちゃいます。ちょっと食べすぎるくらい(笑)。豆のサラダも、いつもストックしてありますけど、朝でも作れるくらい簡単。缶詰をパカッと開けて、味付けするだけ。パセリは生のものがなかったら乾燥タイプでも大丈夫。トマトを刻んで入れたり、応用がききます。朝だけじゃなく、夕食に添えたり、お客様に出しても喜ばれますよ」

思わずほっとする、毎日食べたい和朝食。
思わずほっとする、毎日食べたい和朝食。
まるでホテルのような、気分も華やぐ洋朝食。
まるでホテルのような、気分も華やぐ洋朝食。


川津さんが、朝の時間を過ごす上で、大事にしていることは何なのでしょう。

「前日の疲れが残っているのがイヤなんです。健康な状態で一日を始めたい。そのためには、3食しっかり食べること! 絶対手作りで、というこだわりがあるわけではないので、おいしい肉まんが手に入ったから今日はこれにしよう、という日もありますし。忙しかったら、パンにジャムだけでもいいから、とにかく食べることが大切」

ただ、自分のお気に入りのもの、こだわりポイントを見つけるように意識しています。

「ちょっと豊かな気持ちになれるので。例えば、パンにつけるジャムは旬のくだもので手作りしています。苺など、定番のものから、バナナやパッションフルーツなどの変わり種まで。甘党の息子も喜んでくれます。あとは、アウツマイスターに使うチーズは、グリュイエールチーズじゃなきゃ、というのは決めていますね。ただなんとなく調理して食べるんじゃなくて、品数がちょっと少なかったり、足りない部分があったとしても、『今日のジャムはお気に入りだぞ』『このチーズにはこだわりがあるぞ』と思えると、一日がんばれる気がします」

母から受け継いだ「朝抹茶」の習慣。一日を始めるスイッチになっている。
母から受け継いだ「朝抹茶」の習慣。一日を始めるスイッチになっている。
また、川津さんには、「朝抹茶」の習慣があります。

「もともとは、今年95歳になる母の習慣だったんです。実家にいるときは、よく飲んでいました。私が18歳のときに東京へ出てきたので、いったん途切れましたが、8年ほど前に母が東京に移ってきて。しょっちゅう遊びに来るんですが、必ずお抹茶とお菓子持参なわけです。それからは、また始めましたね。きちんとしたお点前をしているわけではないので、お茶関係の方が見たらいい加減だと言われてしまうかもしれないんですけど、飲むと『よし、今日も一日がんばろう』と背筋が伸びる気がして」

川津さんのハツラツとした笑顔の秘密は、朝の過ごし方にあったのかもしれません。


◎川津幸子さん 簡単でおいしい家庭的な料理に定評がある。『100文字レシピ』シリーズほか、分かりやすい語り口の著書多数。

『クロワッサン』924号(2016年5月10日号)より

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