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いつかは直面する愛猫との別れ
「そのとき」をどう迎えるか。

家族である猫の死は、誰にとってもつらいもの。ペットロスに陥らないために「猫のお坊さん」横田晴正さんに、必ず訪れる試練のときの心構えを聞きました。

 
飼い猫が老いて別れがくるのは避けられない運命であり、介護も、最期を看取るのも飼い主を引き受けた人間の務め。必ず訪れる試練のときのために、やっておくと救われる心の準備がある。

「私は飼っている猫や犬たちと毎日、今生の別れをしています」

と語るのは禅宗の僧侶で、「動物のお坊さん」としてペット霊園ソウルメイトの代表を務める横田晴正さん。妻と子ども3人と暮らす新潟には犬2匹とハムスターが1匹。東京分室には猫6匹が一つ屋根の下に。

「ごめんねよりありがとうで送りましょう」と横田さん。

「ごめんねよりありがとうで送りましょう」と横田さん。


「朝起きたら今日もお互いに元気な顔を見ることができてありがとう。寝るときには今日も無事に一日を過ごせてありがとうって伝えるんです。翌朝、もしどちらかが目覚めなかったとしても慰めは残ります」

日々、感謝の気持ちから声掛けしていれば、別れが突然訪れても後悔を少なくすることはできる、と横田さん。

「飼い猫が老いることをマイナスにとらえるのではなく、それだけ長く一緒に幸せな時間を過ごせたと、考える気の持ち方が大切なんです」。

 

心の美しさは、猫のほうが
人間より上だと私は思ってます

砂時計にたとえれば上と下のどちらを見るかの違い。減っていく上の砂、つまり命は短くなっていくけれど、その代わりに下の砂、一緒にいられる時間はどんどん増えていく。見方を変えるだけで心は少し軽くなる。

「人でも動物でも介護は苦痛を伴います。お金もかかるし労力もかかる。長生きしてほしい反面、経済的に治療費の負担は大きくなるし、そんなことに悩む自分の心が卑しいとも思ってしまいます。ですが、人間は、できないことを望むから苦が生じるのです。できることを精いっぱいしていれば充分だし、それ以前に、猫は飼い主が苦しんでいることを望んではおりません」

老いや病気にもっと早く気づいてあげたらと自分を責める人が多いけれど、弱みを隠そうとするのは動物の本能。いくら心を許している飼い主でも気づけないのが当たり前と横田さんは言う。

「猫からすれば大好きな飼い主に心配をかけたくないんです。具合が悪いのを黙って耐え忍び、治療になってからは飼い主の意に応えて頑張るのです。心の美しさは人間よりも遥かに猫のほうが上。私はそう思っています。だから猫たちが病気を隠すのは、飼い主思いの親孝行。優しくも凜とした心の持ち主なんですよ」

猫を愛し、可愛いがったならば、たとえ死に目に会えなくても悔やまなくていい。看取りとは息を引き取る瞬間に立ち会うこととは限らないのだから。

「愛されたペットたちは、死を迎える前に必ず何かしらのお別れのメッセージを飼い主に残していきます。振り返ってみて思い当たれば、そのときが最期のお別れをしたときなんですよ」

ペット霊園ソウルメイト・東京分室の祭壇。

ペット霊園ソウルメイト・東京分室の祭壇。


 

◎横田晴正さん  ペット霊園ソウルメイト代/27歳で出家。曹洞宗長福寺住職。2001年、新潟県長岡市にペット霊園ソウルメイトを設立し、’13年、東京都杉並区に東京分室を開設。著書に『ありがとう。また逢えるよね。ペットロス 心の相談室』『老いゆくペットと幸せに暮らすための40の心得』(共に双葉社)など。

『クロワッサン』916号(2016年1月10日号)より

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