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「減塩水」って知ってる?
確実に塩が減らせる料理のアイディア。

減塩したい、と思いつつも現実はなかなか難しいもの。そこで、確実に減塩できて料理もおいしくなる基礎テクニック「減塩水」のアイディアを教わりました。

 

「1食2gまでなどとストイックになるよりも、普段の料理を半分の塩分でおいしく作るコツを知ることが大切」

とは、料理家で栄養士の小田真規さん。料理の量を少なくしたり、おいしさを犠牲にした薄味で塩分を減らす方法では、物足りなくてフラストレーションがたまり、結局、卓上でソースや醤油をドボドボかけてしまうことに。

「味を感じやすくする工夫や、素材の生かし方など、調味料や素材の特性、そして調理科学を理解することで、減塩はかなりクリアできるんですよ」

といっても難しく考える必要はなく、いつもの下ごしらえや調理方法をちょっと見直すことで、目からウロコの結果を見いだせる。今回伝授してもらったのは、そんな確実に減塩できておいしくなる、調理の基礎となるテクニックの数々です。しかも、作る人に負担が少なく特別な道具も必要ない、誰でもすぐに取り組める方法ばかり。

中でも注目なのは、減塩調理を突き詰めた小田さんが考案した、一定量の塩を水に溶かした「減塩水」のアイデア。正確な塩分量を把握する大きな助けになると推奨しています。

「塩小さじ3分の1とか、計量スプーンでも量りにくいですよね。塩は形状によってスプーンに入る量も変わってしまいますし。でも液体ならば誤差が出にくい。さらに、均等に味がいきわたりやすいので、少量で塩味を決められます。食材に水分も含ませられるため、しっとり柔らかく仕上げることもできて減塩効果が高いんです」

塩分が12%の「濃い減塩水」と、2%の「薄い減塩水」の2種類を使い分けるのがポイント。

「醤油は塩分が約15%で、味噌は約13%。濃い減塩水のほうが塩分は低いのに、なめると一番しょっぱく感じる。醤油や味噌にはうまみや香りがあるので塩味をダイレクトに感じにくく、極端に言うとゴクッと飲めてしまうほどおいしいので、減らすのが難しいの」

それが、減塩水を味のベースに、醤油や味噌は風味づけ程度にすると、塩分が減り、うまみや香りが引き立つとか。そんな減塩水の作り方から紹介します。

 

【減塩水を活用する】
塩分12%と塩分2%の2種を使い分けるのがコツ。

減塩水とは、水に一定量の塩を溶かしたもの。水は水道水でもミネラルウォーターでもOK。清潔で、密閉できる容器(水分が蒸発すると塩分が変わってしまうため)に保存して、冷蔵庫で10日くらいを目安に使い切る。醤油よりやや薄い、塩分12%の「濃い減塩水」。海水よりやや薄い、塩分2%の「薄い減塩水」。この2種を作り、主に濃い減塩水は料理の下味に、薄い減塩水は料理の仕上げに、と使い分け。
「液体なので、計量スプーンですくうだけで塩分量を計算しやすく、そのまま食材にかけられます」

 

濃い減塩水の作り方:水100㎖に塩12gを溶かしたもの。下味をつけるには、食材100gに小さじ1(5㎖)=塩分0.6gを目安に。加熱調理の味つけにも。

薄い減塩水の作り方:水300㎖に塩6gを溶かしたもの。調理に小さじ1(5㎖)を使用すれば、0.1gの塩を加えたことになる。仕上げのほか少量の料理にも重宝。

 
鯖の塩焼きの下ごしらえに、ふり塩ではなく、濃い減塩水(水100㎖に塩12gを溶かしたもの。)をかける。
「1切れに対して小さじ1の濃い減塩水をかけ20分ほど置いて。全体に均一にいきわたるので、少量でも充分な塩加減です」。焼く前に余分な水分は拭き取って。
ふり塩ではなく、濃い減塩水を。

ふり塩ではなく、濃い減塩水を。


 
野菜炒めの調味に。下ごしらえをした野菜の正味量約250gに濃い減塩水小さじ2が基本。「目分量で塩こしょうする癖をなくし、食材を計量して必要量を使うように心がけて」。塩の使用量と、仕上がりの味を把握していこう。
塩胡椒ではなく、濃い減塩水で味をととのえる。

塩胡椒ではなく、濃い減塩水で味をととのえる。


 
きゅうりの塩もみを作るときは、直接、塩をふらずに、薄い減塩水をからめる。「ちょっと時間をおいて、軽く水分を絞れば、きゅうりの食感が損なわれず、きちんと味がなじみます」。生姜、ネギなどを一緒にもみこむと、うまみも加わる。
きゅうりの塩もみには、薄い減塩水を。

きゅうりの塩もみには、薄い減塩水を。


つみれ汁など汁物の仕上げで、味が物足りないときには薄い減塩水小さじ1を。「最後の『塩少々で味を調える』というときにも、薄い減塩水で充分、味がしまります」。卓上の醤油も、薄い減塩水に切り替えれば安心。
味が足りないときに薄い減塩水を。

味が足りないときに薄い減塩水を。


 

◎小田真規子さん 料理家・栄養士/「スタジオナッツ」主宰。健康に配慮した簡単でおいしいレシピが人気。著書に『初めての減塩水クッキング』(セブン&アイ出版)など。

『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より

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