くらし

女性の生きる道は、紆余曲折の連続――E・Iさん(インテリア・アシスタントデザイナー)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、読者の体験記から40年前の女性のリアルな姿を追います。
  • 文・澁川祐子
1978年4月号「私の『脱専業主婦』体験記」より

女性の生きる道は、紆余曲折の連続――E・Iさん(インテリア・アシスタントデザイナー)

前回に続き、全国から寄せられた「私の『脱専業主婦』体験記」からの名言です。長文の体験記を読むと、発言者は結婚3年目ながらも、名言にあるようにかなりの紆余曲折を経てきていることがわかります。

結婚した相手は、同じ職場の同期。男性と肩を並べて働いていたにもかかわらず、夫の「結婚したら、女は家にいること」という考えで、やむなく退職してゴールイン。しかし専業主婦になって半年、ただ夫を待つだけの毎日に鬱状態に陥ったと綴っています。

その姿を見て夫は考えを改めたのか、大学に進学したいという彼女の希望を受けいれ、晴れて大学生に。その間、夫の会社が不況のあおりで解散し、失業するという事態にも見舞われます。そうしたなか、夫が家事に協力的になり、卒業後は就職もし、共働き夫婦になったといいます。

しかし落ち着いたのは束の間、27歳になり、子どもをもつことを考えてまた働くことに迷いが生じていると告白しています。そして体験記は、<何かを始めては中断し、少し道をかえてもやはり中断してしまう。でも頑張るぞ――と意気込んでいる、主婦3年目の女のため息なのです>と締めくくられています。

紆余曲折を経ながらも、なんとか道をみつけようとする女性。そしてその姿に少しずつ理解を示めしてくれるパートナーの存在。女性たちのため息はまだまだ聞こえてきますが、一人ひとりの変化が少しずつ世の中を変えていっているのだと思いたくなる手記でした。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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