以前、"一億総活躍"なるスローガンが世間をザワつかせたことがありました。
所詮、"活躍"などというのは、相対的な尺度に過ぎず、
「○○に比べて、△△は活躍している!」
ということですから、"総活躍"となると、結局誰も活躍していないのと同じ……虚しい言葉です。
大体、"理想の45歳"など存在しません。
かくいう僕(43歳)も、理想とは程遠い状態。
芸人を志すそのスタート地点で、"貴族"と自称することも、後に一発屋と揶揄されることも想定外……夢にも思っていませんでした。
結局のところ、「なれた自分でやっていく」、「理想とは程遠いけど、とりあえず生きていくのだ」ということに尽きます。
僕は「人生諦めが肝心」という言葉を大切にしていますが、"諦める"ためには、ある程度、行動や結果の積み重ねが必要です。
相談者の"野望"がどういうものかは分かりませんが、「とりあえずやってみる」というのはいかがでしょう。
断っておきますが、「行動しないと夢は叶わないよ!?」などと、ポジティブなことを言うつもりは毛頭ありません。
「この夢は叶わない」、「自分には分不相応な望みだった」……要は、「出来ない」ことを知るために、一刻も早く失敗を重ねて頂きたいのです。
絶望するということは、「自分に出来ないこと」のデータを、非常に高い精度で得られることでもあります。
その分、視界が開けるので有益です。
「諦めなければ、夢は叶う!」、「最後まで諦めなければ、必ず成功する」などと叫ぶ方々もいらっしゃいますが、その意見は、勝ち組の平均値に過ぎません。
「諦める前に、勝ちが来た!」、「たまたま勝ちが間に合った!」だけとも言えます。
いずれにせよ、自分の可能性を探るのではなく、一つ一つ、コツコツと潰していく作業……まずはそこからでは。
そういう意味で、"理想の45歳"があるとすれば、失敗、挫折の経験値が充分に貯蓄されていることかなと思います。
現実の世界では、何一つ成し遂げずに人生を終える人は沢山います。
それでも機嫌よく生きて良いし、そうすべきかと。
何者にもならずに死んでいくのも人生の勝ち、もとい価値の一つではないでしょうか。