くらし

まずは1品種から。多肉植物をお気に入りの器に植えてみよう。

今や広く知られるようになった多肉植物。その魅力と、日々の生活の中で上手に付き合う方法を、あらためて知っておこう。
  • 撮影・清水朝子 文・嶌 陽子
ガラスやカップ、ピッチャーなど。器によって多肉植物の表情が変わるのが楽しい。

多肉植物は小さいものが多く、とてもゆっくりと成長するのが特徴。そのため、小さなサイズの器に植えても充分に楽しめる。TOKIIRO 近藤義展さんが、植え替えの方法を教えてくれた。

「水はけをよくするため、器は、穴が開いているものが理想です。開いていない場合は、器の半分より多めくらいの高さまで小石を入れて、水の逃げ道を作ってあげましょう」
園芸店には多肉植物用の土も売っているが、根の細いベンケイソウ科を植えるなら、粒子の細かい土を選びたい。植え替えが完了したら、写真を撮っておこう。
「1週間後にチェックしてみて、最初の状態から変化があれば、それは環境に問題があるということです」

たとえば、日当たりが悪いと日光を求めて頭がひょろひょろと伸びてきたり、形が変わったりすることも。
「それは“短期間で成長した”のではなく、SOSの合図なんです」
一方で、下のほうの葉が枯れてきたり取れたりすることもあるが、これは成長の過程なので、心配無用。
「取れた葉っぱを乾いた土の上に置いておくと、2〜3カ月で新たに根や芽が出てくることもあります。生命力の強さの証しです」

慣れてきたら、別の品種を違う雰囲気の器に植えてみたり、寄せ植えやリースに挑戦してみたり。品種が豊富にあるので、楽しみは尽きない。上手に育てれば、何十年も生き続けるたくましさも持っている。
「“多肉植物も人間と同じく生きている”というシンプルな事実を頭に入れていれば、それほど難しく考えることはありません。“今、水がほしいのかな”とか、“光が足りないのかな”とか。日々、愛情を注ぎながら向き合っていれば、そのうち少しずつ、多肉植物の気持ちが分かってくるようになりますよ」

苗を器に植え替えるには。基本のステップを学ぼう。

1. 苗、器、ネット、多肉植物用の乾いた土、スコップ、ピンセット、細めの木製マドラーを準備。
2. 土の流出や虫の侵入を防ぐために、器の底穴をネットでふさぐ。編み目の細かいネットがよい。
3. 苗を容器からはずす準備。容器の外側を手で揉んで土を柔らかくし、出しやすくする。
4. 片方の手で容器を持ち、もう片方の手で苗を上にゆっくり引き出す。葉の部分を持っても大丈夫。
《NG》容器を横や下に傾けないよう注意。土が葉と葉の間に入り、取ろうとすると葉を傷つけかねない。
5. 根についた土をほぐしながら取りつつ、古くなった根を指先を使って剪定する。
6. 器に入れる。底から少し浮き上がるように、片手で多肉植物を持ち上げながら土を入れていく。
7. 土を8割ほどふんわりと入れたら、土が根と根のすき間に入るように、器を外側からたたく。
8. 根が完全に土に隠れるように、さらに土を入れる。下の葉に土がかかってしまっても大丈夫。
9. マドラーで押し込みながら、器の縁から5mm下まで土を入れる。ピンセットで位置を整える。
10. 完成。日当たりのよい場所に置く。植え替え後、根が安定し始める1週間後まで水は与えないこと。

初心者でも育てやすいおすすめの品種はこちら。

【朧月(おぼろづき)】ベンケイソウ科グラプトペタルム属。原産地はメキシコ。暑さにも寒さにも強く、日本でも昔から庭で育てられてきた。肉厚で水分が多いので、多少放っておいても大丈夫。
【白牡丹(しろぼたん)】ベンケイソウ科グラプトベリア属。上品な色とエレガントな形が人気。葉先がほんのりピンクに紅葉する。日本の気候に合っているので、屋外に置いておくと元気に育つ。
【月兎耳(つきとじ)】ベンケイソウ科カランコエ属。ふわふわとした白い毛に覆われた葉は、兎の耳のような形。触ると気持ちいい。とても丈夫で、屋外に置いておけばぐんぐん伸びる。
【サンライズマム】ベンケイソウ科セダム属。「日の出のように明るいママ」という名のとおり、華やかな雰囲気。暑さ、寒さに強い。秋になると葉が黄色くなり、さらに縁がオレンジ色になる。
【パリダム】ベンケイソウ科セダム属。細かい葉をつけた丸いかたまりが、集まっている。寒さにもある程度強いので、冬場も氷点下1〜2℃くらいまでなら外に出しっ放しでOK。

TOKIIRO(トキイロ)●多肉植物アレンジ創作ユニット。2009年より多肉植物に特化したアレンジを提案。グリーンやガーデンデザイン、ワークショップ開催など多岐にわたり、海外でも活躍。

『クロワッサン』974号より

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