片づけのハードルを上げ、苦手な人を何度も挫折と自己嫌悪に陥らせているのは、片づけの正解が“モノを減らす”ことだと勘違いしているから、と整理収納アドバイザーの中山真由美さん。
「捨てたくないのに捨てなければ、と思う片づけは誰にとっても苦痛でしょう。人によってモノの必要量は違うので、全員が“モノが少ない家”を目指す必要はありません。大切なのは、モノがあってもなくても“心地よい部屋”をつくっていくことです」
そこで、片づけが苦手な人にこそ試してほしいと中山さんが提案するのが、何も捨てずに整えるだけでスッキリ見え、達成感も味わえる方法。
「一般的な片づけは、モノを全部出す、いらないものを捨てる、カテゴリーや種類で分ける、使いやすくしまうという手順で行います。でも“捨てる”工程を省くだけで、苦手な人の心への負担は激減します。あるものを使いやすく、見栄え良く整えるだけでいいんです」
今回は、小学校低学年と2歳のふたりの娘を持つ読者Kさんの家を実例に、中山さんが推奨する最も簡単な“捨てない”片づけ術を教えてもらう。
「リモートワークが増え、家で仕事、家事、育児と様々なことをしなければならないので、まとまった片づけの時間が取れません。気づけばモノが散乱し、ゴチャゴチャした印象に」(Kさん)
雑然とした印象を生むのは、なんとなくモノを置いてしまっているから。
「置き場所を決め、モノの向きを整えるだけで印象はガラッと変わります。ただ、最初から家全体に取り掛かろうとせず、その時の体力や注げる時間に合わせて片づける場所を決めましょう」
今回は納戸で実践。
「そこにあるものを全部出したら、人別や種類別に分類し、使う頻度を考えながら適した置き場所をつくっていくのが基本です。整えたところは頑張ってキープして、ほかの場所も並べ替えれば、家じゅうが片づいていきますよ」