まだ安心はできないものの、休館していた都心の美術館が少しずつ開館しはじめている。鑑賞者同士の間隔を2m以上取れるように対策を講じながらのオープンゆえ、入場予約制を取る館もあるけれど、逆に考えれば、美術館は混雑しにくい体制を敷いたということ。むしろ、これまでよりも快適に鑑賞できるのだから、これを利用しない手はない!
東京国立博物館の特別展『きもの KIMONO』は、鎌倉時代から現代までの着物をずらりと揃えた、目にも麗しい展覧会。元禄文化の豪華な振袖もたまらないけど、昭和期の銘仙や、男性用の凛々しい着物もまた美しく、新しい発見に満ち溢れた展覧会。洋の装いもお好みな方は、渋谷区立松濤美術館の『真珠—海からの贈りもの』も楽しい。古代から近代に至るまでの装身具、真珠養殖に世界で初めて成功した御木本幸吉創業のミキモトが手掛けたアクセサリーなど、ゴージャスな展示にテンションも上がる! ちなみに、美術館のある松濤はお屋敷街。帰りに散歩するのも楽しい。
インテリア好きの人には、東京都庭園美術館の『東京モダン生活』もおすすめ。もともとは旧宮家の邸宅だった東京都庭園美術館本館は19
30年代の最先端デザインによる優雅な空間が広がっている。新館内のカフェは、自然光が降り注ぎ、鑑賞後の余韻に浸るにはぴったりの場所。
そして、非日常な空間を体験したい! という方は、東京都現代美術館の『オラファー・エリアソン ときに川は橋となる』へどうぞ。光と幾何学を組み合わせた彫刻や写真作品をはじめ、バリエーション豊かな作品は美しいことはもちろん、地球の未来すらも考えさせてしまうスケールの大きいもの。新しい日常を過ごしていくためのヒントももらえそう。
毎日の過ごし方は大きく変わったものの、気持ちを潤してくれる美術館の役割は以前と全く変わらない。毎日を楽しく過ごすエッセンスとして、美術館を活用してみよう。