「両親によると、子どもの頃から“きっちり収める”のが好きだったみたいです。おもちゃを買ってもらう時も『これを買ったら、おもちゃ箱の中のおもちゃをひとつ減らさないといけなくなる』と考えていたそうですよ」
そう笑って話す牛尾理恵さん。実家だったマンションの部屋を10年前にリフォームして、夫と2人で暮らしている。一日の多くを過ごすキッチンとダイニングスペースは驚くほどものが少なく、広々と感じられる空間だ。
「10年前に引っ越してきた時から物量は増えていません。むしろ減っているかもしれないですね」
料理研究家として、忙しく過ごす牛尾さん。仕事の収支はきちんと帳簿をつけている一方、家計に関してはクレジットカードの明細などでざっくりと支出を把握する程度だという。節約を強く意識しているわけではないものの、「余計なものを買わない」という考えは、日頃から徹底しているようだ。
「たとえちょっとした日用品であっても、毎日使うものだからこそ妥協したくない。長く使えそうか、自分の好みに合っているかどうかを徹底的に吟味して、納得できるものを選びたいんです」
その一例として挙げてくれたのが、洗濯ばさみ。プラスチックの色付きのものがどうしても好きになれず、ステンレス製のものを買った結果、もう20年も使っているそうだ。
「本当に気に入ったものであれば、多少値が張っても買うことにしています。そのほうが、愛着が湧いて大事に扱うから、長持ちする。何度も買い替えるより結果的に節約になっていると思います。納得いかないものを買ってしまうと、毎日それを見てモヤモヤした気持ちになってしまう。お金もそうですが、心の無駄遣いをしてしまうと思うんです」