日本の場合、キャッシュレス化が進むのは、主に事業者(企業)と国の利便性が大きいと松崎さん。
「銀行は維持費が高いATMを廃止でき、小売店はレジのコストや人件費を削減できます。現金を置かないので防犯にもなりますね。国としても、労働力不足の解消、インバウンド消費への対応、不透明な現金資産の見える化などが期待できるとあり、積極的に導入したい考えです。こうしたことが、官民一体となってキャッシュレスを推進する背景に」
海外では、キャッシュレスによって企業の売り上げを透明化することで脱税の防止や税収アップに成功している国も多く、日本政府もそれを強く期待しているという。
もちろんこれまでも、クレジットカードや電子マネー、デビットカードの利用はされていたが、キャッシュレスが一気に注目されたのは、昨年12月にPayPayが行った『100億円あげちゃうキャンペーン』。PayPayで買い物をすれば20%相当がポイント還元されるという内容が、それまでキャッシュレスに興味がなかった層も巻き込み大きな話題になった。
「消費税の増税を控え、中小規模の店舗、例えば商店街のパン屋さん等でキャッシュレス決済すれば、支払った額の5%をポイント還元する対策(増税後9カ月限定)を政府が導入すると発表し、キャッシュレスが注目される大きな一因に」