更年期障害、うつ病、皮膚疾患……様々な不調を訴える患者を診続けてきた鍼灸師の若林理砂さんが、口をすっぱくして伝えてきたことがある。
「当たり前すぎて見向きもしない人が多いですが、睡眠、食事、運動。この3つを調えるのが養生の基本です。まずは早寝早起き、できてますか?」
ええ、まあ8時には起きて……なんて言っているようでは問題あり!
「8時は朝ではありません(笑)。中国の古典『黄帝内経素問(こうていだいけいそもん)』では、夏の3カ月間(梅雨〜9月初め)は、日の出くらいには起きるように、とあります。日の出は難しくとも、せめて7時くらいには起きてほしいですね」
そのためには12時には就寝したいところだが、この季節は、湿気と暑さで、日ごとに寝苦しくなってくる。
「梅雨は日本独特の気候ですが、湿気が体に入り込む『湿邪(しつじゃ)』は関節や下半身のむくみ、耳鳴り、頭痛、下痢、嘔吐などを引き起こし、しかもそれが長引きます。なんとなく体が重だるいように感じたら対策を講じましょう」
若林さんのおすすめは、寝る前に布団乾燥機で布団から、除湿機で部屋から、湿気を追い出してしまうこと。
「エアコンだと除湿機能が弱冷房にしかなっていない場合があるので、単機能の除湿機が確実です。物理的に湿気が減ることで、呼吸や発汗、消化などを司る自律神経系が楽になり、眠りやすくなるはずです。また入浴は、41度くらいのやや熱めの湯で。じわっと汗をかくとだるさが抜けやすくなります」