そもそも体が発熱するのは
なんのため?
そもそも、熱が高くなるのはどうしてでしょう。
心療内科医の伊藤克人さんによると、体の中で体温調節をしているのは、脳の視床下部というところ。たとえば、風邪のウイルスに感染すると発熱物質が作られ、視床下部にその情報が伝わります。すると体温が上がり、細菌の増殖を抑えたり免疫力を高めたりという防御機能が働くのだそうです。
「発熱を伴う病気は、感染症に炎症、悪性腫瘍、リウマチのような自己免疫疾患、甲状腺機能亢進症など。ほかに、肺炎、副鼻腔炎、膀胱炎、肺結核、虫垂炎などでも微熱が見られますが、多くは局所の痛みや咳・痰などの特有の症状が伴います。いずれにしても高体温が続く場合は、内科を受診して原因を調べることが大切です」と伊藤さん。
ストレスによる熱は
検査をしても異常が見つからない
一方、目立った身体症状がないのに微熱が続く場合には、「更年期障害やうつ病のように、自律神経失調症状がみられるような病気も考えに入れる必要があります」と、伊藤さんは言います。
ストレスは自律神経系の中枢である視床下部に影響し、さまざまな自立神経失調症状をもたらします。それが慢性的に続くと、体温調節の機能にも狂いが生じ、熱が出ることがあるそうです。
同様に、精神的ストレスで熱が出る「心因性発熱」というものもあるそうです。「歯科治療の前など極度に緊張するようなことがあると、急性ストレス反応から一時的に体温が上がったり、何か慢性的なストレス状況が続き、それに伴って微熱がみられるような状態です」(伊藤さん)
こうしたストレス性の熱の場合には、病院で画像検査や血液検査をしても異常が見つかりません。また、炎症が起こって熱が出ているわけではないので、風邪薬や解熱剤などを飲んでも、一旦熱が下がってもまた上がってしまう場合もあるのです。