最近、こんなことはないだろうか。声が以前より細くなった。会話をしている途中で、聞き返されることがよくある。しょっちゅう咳払いをする。口が回らない時がある。歌う際に、高音が出にくくなった……。それらはもしかすると、声の老化現象かもしれない。
「声も身体と同じ。年齢を重ねるうちに、老化するものなのです」
そう話すのは、自身も歌手、アーティストとして活躍するかたわら、幅広い年齢層を対象にボイストレーニングを行っている佐藤慶子さん。
「年齢とともに、声帯を支える筋肉をはじめ、口や顔の筋肉が衰えてきます。唾液が少なくなったりするのも、声がはっきりしなくなる原因のひとつです。また、表情と声は、切っても切れないもの。人によっては、年を重ねるにつれ、不安や不満がたまり、顔から生き生きとした表情が減ることも。それで、声が出にくくなる場合もあるのです」
声を出すことで、身体全体が元気になる。
そのまま放置しておくと、声はますます出にくくなる。だが、鍛錬によって、若々しい声を手に入れることは、何歳からでも可能だ。しかも、うれしいことに、声を出すことを日頃から心がけていると、身体も元気になってくるというのだ。
「声を出すと、体内の気のめぐり、血のめぐりがよくなります。声を体内に響かせることで、エネルギーが生み出され、身体全体が活性化されるのです」
“おはよう”や“いただきます”といった、日々のちょっとした挨拶でもいい。それをお腹から声を出して言うようにするだけで、気持ちが晴れるし、活力もわいてくる。