からだ

最近よく聞く虚血性心不全の前に、大人の女性が気をつけたい心疾患があると聞きましたが…。

心筋梗塞や狭心症などは、実は性差の大きい疾患。女性が知っておくべき対処法があるのです。大事な心臓を守る秘訣を学びます。
  • 撮影・青木和義 文・及川夕子 イラストレーション・川野郁代
(左)医師 天野惠子さん (右)フリーアナウンサー 竹内香苗さん

著名人の突然死などをきっかけに、注目されている虚血性心不全などの心疾患。統計によると、心疾患は、がんに次いで日本人の死因第2位と、人ごとではない。心臓の病気はどこまで防げる? 予兆はあるの? など、フリーアナウンサーの竹内香苗さんが、女性の身体と循環器疾患に詳しい医師の天野惠子さんに聞いた。

竹内香苗さん(以下、竹内) 天野先生は長年、性差医療をテーマに、研究・診察を続けてこられました。女性特有の狭心症があると、日本で初めて指摘したのも天野先生ですよね。今回は心臓の病気、特に女性特有の症状についていろいろと教えてください!
最近メディアなどで、虚血性心不全や心筋梗塞といった疾患名を目にします。ついさっきまで元気だった人が、突然倒れて死に至る怖い病気というイメージがあるのですが、実際には、どのような病気なのですか?

天野惠子さん(以下、天野) まず先に、心臓の仕組みを簡単に説明しておきましょう。心臓は1日約10万回休みなく拍動している臓器で、これを動かしているのが冠動脈(心臓の側面に走る太い血管)。冠動脈から栄養と酸素が常に供給されているから、心臓は動いていられるわけですね。

竹内 10万回も、すごい!

天野 虚血性心疾患というのは、その冠動脈が動脈硬化などの原因で狭くなったり、詰まってしまうなどして、心筋に血液が行かなくなって起こる疾患のこと。心筋梗塞や狭心症をまとめて虚血性心疾患と呼んでいます

竹内 つまり、心臓に充分血液が行き渡っていない状態が「虚血」ですね。

天野 そうです。まず冠動脈が狭くなり、血流が乏しくなって起こるのが狭心症です。運動時に起こる労作性狭心症は胸痛や胸の圧迫感などが特徴ですが、安静にしていると治まります。一方、冠動脈が完全に塞がって虚血の状態が長く続くと、その先の心臓の筋肉には酸素が届かず、細胞が死んでしまいます。これがいわゆる心筋梗塞。心不全や不整脈を伴ったりすると、虚血性心不全になるなど命に関わることもあります

最近では治療法が進歩して、心筋梗塞を発症しても助かるケースが増えてきました。しかし、一度壊死してしまった心筋は回復することはなく、心臓の機能は落ちてしまいます。その後、年をとるにつれ、さらに動きが悪くなってきて、最後に心不全で亡くなるといったケースが増えてきていますね。

主な心臓の病気の仕組みと流れ。【左:狭心症】動脈硬化が進行したり、血管がけいれんすることで血液の通り道が狭くなり、胸痛が起こる。症状は一時的で自然に治まる。 【右:心筋梗塞】動脈硬化などが原因でできた血栓が冠動脈に詰まり、完全に塞がる。その先に血液が届かなくなり、心臓の筋肉が壊死する。
心不全は主に心筋梗塞や狭心症など、心臓のさまざまな疾患が原因で、最終的に至る症候群を意味する。また、高血圧で長年心臓に負担がかかっている場合にも心臓の働きが落ち、心不全の原因になることもある。
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