からだ

うま味の相乗効果を利用して、満足感を得られる痩せレシピ。

異なるうま味成分を組み合わせると、うま味は最大で7〜8倍も増幅する。科学する料理研究家、科学ライターの平松サリーさんに教わる、科学的観点から、賢くダイエットに活用できるレシピ。
  • 撮影・青木和義 文・シキタリエ

普段、何気なく味わっている料理には、当然のことながらさまざまな味が重なり合っている。今回注目するのは、うま味。塩味、甘味、酸味、苦味と並び基本的な味覚の一つで、本能的に身体が欲し、味わうと高い満足感が得られるのが特徴だ。
「うま味成分は、大きく分けてアミノ酸系と核酸系の2種類があります。グルタミン酸というアミノ酸系の成分と、イノシン酸やグアニル酸といった核酸系の成分は、それらを組み合わせることによって、最大で7〜8倍もうま味がアップします」
と教えてくれたのは、科学という分野を通して京都大学大学院時代から料理を研究・開発している平松サリーさん。
「わかりやすい例では、和食のベースとなる味には、昆布などに含まれるグルタミン酸と鰹節などのイノシン酸がありますが、合わせて使うと、それぞれ単体でだしをとるよりもうま味が増幅します」

さらにダイエット中にうれしいのは、うま味によって少量でも満足感を得られることや、油脂や糖分、塩分などを控えてもおいしく仕上がる痩せレシピになること。合わせだしは江戸時代から使われるようになったが、科学的にうま味の相乗効果が判明したのは約50年前だとか。昆布×鰹節という王道の組み合わせは、先人の知恵による賜物のようだ。

うま味の方程式や主となる食材を覚えれば、今日から活用できる。

科学、と聞くと身構える人もいるかもしれないが、手軽に取り入れられるのも魅力。「うま味の相乗効果の方程式を把握しておけば、だしを使わなくてもうま味たっぷりの一品が作れます」と平松さん。例えばブロッコリーのグルタミン酸と鰹節のイノシン酸を利用したおひたしや、トマトのグルタミン酸ときのこのグアニル酸を組み合わせた味噌スープは、共にだしいらずなうえ、短時間で作れるのもうれしい。
「私が料理に夢中になったのは、食べることが好きなことと同じくらい、“なぜ?なに?”を解消することに喜びを感じるから。うま味の方程式を知ってからは、つい相乗効果探しがクセになっています」
平松さんのレシピは調理の工程にも無駄がなく調理時間も短めなので、何より継続が大切な食事法に無理なく、おいしく取り組めるのがうれしい。ダイエットの味方である、脂質の少ない鶏むね肉や牛の赤身肉を柔らかく仕上げる方法も教えてもらった。

うま味にスポットをあてることで、余分な油脂や糖分を摂らない食生活を目指したい。

2種のうま味成分を重ね、味わいが増す方程式

中華だしの「ねぎ+鶏ガラ」や洋風だしの「玉ねぎ+牛すね肉」もこの組み合わせ。満足度が増すと、減塩できるのもポイント。
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