Vol.10 手首の関節が痛みます。【40歳からのからだ塾WEB版】
あまり知られていない “リウマチ予備群” とは?
最後に、あまり知られていない“リウマチ予備群”について紹介したいと思います。
これまで、多くの膠原病患者さんの診断・治療にかかわってきた宮地さん。 更年期にまずHRTを行い、関節リウマチになるのを防ぐ試みを行っています。
更年期世代で関節症を訴える患者さんの中には、検査でリウマチ因子(抗CCP抗体を含む)陽性と出ているのに、炎症反応は陰性で、関節リウマチは未発症という人も存在するのだとか。そうしたケースを宮地さんは“関節リウマチ予備群”と呼んでいます。
「関節リウマチ予備群の人は、エストロゲンが低下する閉経後に関節リウマチや膠原病へと進展していく可能性があります。そうしたケースにもHRTは有効です。数年間続けることで、リウマチ発症の準備段階から発症へと進むのを抑えられる可能性があります」と宮地さん。
実際に、更年期にHRTを開始し7年〜10年継続、リウマチ因子(例数は少ないが抗CCP抗体も)陽性だが未だ発症していない例や、更年期にHRTを開始したが、調子がよくなりHRTを一旦止めたところ、関節リウマチを発症してしまった例があるそうです。
ただ、こうした治療法は、まだ広く認められていないのが現状。宮地さんは、「リウマチの専門医には、『なぜリウマチ性疾患が女性に多いのか』ということにもっと意識を向けてほしい」と話します。また、「関節の痛みと女性ホルモン研究会」を平成28年4月より発足し、更年期障害とリウマチ性疾患との関係について検証を続けています。
今回のまとめです。
- □ 更年期の関節症は更年期障害であることも。HRTで緩和できる可能性が高い
- □ 更年期の関節症は、関節リウマチの可能性も。気になる症状があれば一度、検査を
- □ リウマチ因子(あるいは抗CCP抗体)があっても、発症しない“関節リウマチ予備群”が存在する
- □ 閉経後のリウマチ発症に、エストロゲン低下が関与している可能性がある。発症予防にはHRTの継続使用が有効との説があり、検証・研究が進められている
慶宮医院理事長、日本リウマチ学会専門医、日本女性医学学会専門医 みやち・きよみつ●内科医、医学博士。膠原病の専門家で、更年期医療についても造詣が深い。関節リウマチ、シェーグレン症候群、更年期障害などの鑑別診断に先見的に取り組む。
※症状や治療法には個人差があります。必ず専門医にご相談ください。
更年期まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法もしてみたい!
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