からだ

Vol.10 手首の関節が痛みます。【40歳からのからだ塾WEB版】

更年期に関節症状が出やすい理由とは?

では、なぜ関節症は女性に多いのでしょう。「閉経周辺期では女性ホルモンのゆらぎが関係していることは間違いありません」と宮地さん。
閉経後では、女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量は、男性の1/3にまで低下します。そこに加齢に影響も加わって、筋肉や軟骨の衰え、血行不良などから、さまざまな関節症状が起こると考えられるのだそうです。

更年期に関節症状、治療法はある?

更年期の関節症には、エストロゲンを少量補充するHRT(ホルモン補充療法)がよく効くそうです。
「指や手首などの小さい関節なら、2週間程度でよくなるケースが多いです。ひざやひじなどの大きな関節でも、半年ほどで楽になるでしょう」と宮地さん。

ちなみに、20歳代〜30歳代の月経がある女性にも、PMS(月経前症候群)の症状として関節症状が起こる場合が。治療には、一相性超低用量ピル(ルナベルULD)などが使われるそうです。
まだ月経がある場合は、低用量ピルを使いますが、月経不順が増える閉経周辺期の女性には、ユベラ(ビタミンEの補給剤、卵巣不全に効果があると考えられる)を使い、閉経後、HRTを開始します」(宮地さん) 女性ホルモンのゆらぎと消失した場合の関節症については、HRTなどの女性ホルモン製剤で緩和できるのですね。更年期外来や婦人科を受診し、相談してみましょう。

リウマチだったらどうする?

一方、関節症で心配なのは、リウマチなどの疾患が隠れている場合です。 更年期障害と似たような症状が起こるために、自分では判断しにくい疾患です。

関節リウマチの特徴
  • ・ 手指や手首、足の指、足首などの小さな関節から症状が出始める
  • ・ 起床時の手のこわばりが1時間以上続く
  • ・ 関節が腫れる、動かすと痛い
  • ・ 左右対称の関節に症状が現れることが多い

こんな症状があったら、検査を受けましょう。

「関節リウマチは、何らかの遺伝要因と感染症が合わさることで免疫異常が起こり、病気の元ができます。さらに、感染症が強く持続すると、女性ホルモンの関与がなくても発症します」と宮地さん。
症状だけでは判別しにくい関節リウマチですが、関節リウマチの場合は関節に存在する「滑膜(かつまく)」に炎症が起こるため、病院で検査をすれば診断がつくそうです。
「関節リウマチは、血液検査(特に抗CCP抗体、リウマチ因子)、関節エコーで診断がつきますし、治療法も進歩しています。早期発見ができれば、薬物療法で進行を止め、寛解もできる病気になってきています。一度専門医を受診し、検査を受けておくとよいでしょう」 宮地さんによると、HRTを、リウマチ疾患との鑑別(見極め)に使うこともあるのだとか。
「関節リウマチの初期症状と更年期の関節症状はよく似ていて見極めが難しい。そこで、2ヵ月ぐらいHRTを試してもらいます。明らかにリウマチの方ではよくなりませんが、更年期の関節症状であればかなり軽快、消失します」

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