からだ

Vol.7 コレステロール値が下がりません。【40歳からのからだ塾WEB版】

クロワッサン940号の誌面でも紹介しましたが、循環器内科医師である天野惠子さんによると、「健康診断の数値が基準値内であっても、以前と比べて数値が急激に上がってきたなら、体が変わってきたサインと捉え、生活習慣を見直すことが大切」とのこと。薬よりもまず、生活改善です。

天野さんの話では、エストロゲンの分泌がなくなると、女性の体は代謝が落ちて、低体温になります。ですから、「筋肉をつけ、血流をよくし、代謝を上げるケアがより重要」になってきます。
「更年期以降の女性では、1に運動、2に運動、3、4、がなくて5に栄養といっていいくらい、何よりも運動が特効薬になる」と話していたことが印象的でした。

確かに、運動によって血行がよくなり、血液を早く巡らせば、血管壁に悪いものがつくのを防げます。動脈硬化対策はもちろん、高血圧対策にもなります。

血管壁をこするような力を「ずり応力」といいますが、運動で血液を早く流し、ずり応力が高まると、血管をしなやかに保つ物質「NO(一酸化窒素)」の分泌がアップすることがわかっています。
このNOがたくさん出ていると、血管が広がり、血流が促進されます。
効果的なのは、有酸素運動。ウォーキングなら早歩きがおすすめ。心拍数が上がってドキドキするぐらいの強度の運動でOKです。

また、冷えていると体は早く衰え、免疫機能も低下します。入浴時は湯船にしっかりとつかって体を温めることが大切です。
寒い季節は、首、お腹、足(下半身)を温めると冷えにくいです。保温性のあるインナーを着る、お腹には腹巻き、足元はタイツなど、衣類を工夫するだけでも冷え防止になります。
私の経験では、食生活も大切だと感じます。食事制限などのダイエットもしすぎると、体が冷えて体調もすぐれません。熱を生み出すには、「きちんと食べて、食べたら動く」ことがいちばんの近道だと思います。
動かずに食べ過ぎというのが、最もよくない習慣ですね。美味しいものを食べると幸せですが、未来のため改めましょう。

ちなみに、減ってしまうエストロゲンを少量補う「ホルモン補充療法(HRT)」は、コレステロール対策に有用なのかどうかも、天野さんに聞いてみました。
病院では、コレステロール値の治療のみを目的に、HRTを処方することはないそうです。
ただ、ホルモン補充ガイドライン2012年度版によると、HRTの有効性として、「動脈硬化症の予防」に対してはB(有用性がある)評価となっています。
また、更年期は複合的な症状なので、不眠、肌のかゆみ、ホットフラッシュといった更年期症状が出ている場合には、HRTが処方されることもあります。

更年期は、体の変化が大きい時期。年齢とともに検査数値が上がってきて、なかなか下がらなくなってくると、不安になるのが当然です。
でも、閉経によって起こる変化をきちんと理解して、正しいケアをすれば、変化を緩やかにすることは可能です。
温めケアや運動を取り入れて血管をしなやかに保つこと、更年期症状がつらいと感じたらHRTなどの治療を試してみることなどが有効な対策になるかと思います。

ご協力いただいた医師

天野惠子さん

静風荘病院特別顧問 女性内科・女性外来
あまの・けいこ●性差医療のスペシャリスト。専門は循環器疾患、更年期障害、慢性疲労症候群など。初診は30分以上をかけ、症状は問わない、最後まで責任をもって治療に当たるがモットー。

ライター、メノポーズカウンセラー 及川夕子
更年期まっただ中のライター。最近、ちょっと休んだぐらいでは疲れが抜けなくなってきて、以前よりもカラダのメンテが欠かせなくなったと実感。とはいえ、カラダの変化をポジティブに捉え、同年代の女性の健康に役立つさまざまな情報をお伝えしていきたいと思っています。ただいま、ヨガやマインドフルネスを実践中。ホルモン補充療法もしてみたい!
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