関西出身なので、もともと薄味が好きだったという佐々木俊尚さん。断食道場で断食を体験して以来、味覚が鋭くなり少量の塩味で満足できるようになったという。
「断食をすると味覚が鋭敏になり、濃い味でなくてもなんでも美味しく食べられるんです。それが習慣になり、家の料理も調味料はほんの少し。素材の旨味を生かしたり、食感を際立たせる料理が多いですね」
料理の際、基本的に下味はつけない。下味をつけるとどうしても塩分過多になる、と佐々木さん。お酒に合わせるには濃い味で、と思いがちだが、お酒はそれ自体の味を楽しむもの。特に日本酒には、薄味がいいそう。
「塩は最後にパッとふる程度で充分美味しくできます。下味をつけるのは、肉の粘りを出す必要があるハンバーグだけです。それ以外は、薬味、スパイス、ハーブをうまく使って塩を使いすぎないようにしています。トマトのイノシン酸や、山椒の痺れなど、素材が持つ旨味や特徴をうまく活用するのがコツです」
塩を使う時はひとつまみが鉄則。醤油はひと回しで。出汁入りの調味料は美味しくなりすぎてついたくさん食べてしまうが、たくさん食べれば塩分も多くとることになるのでNG。
中華料理ならオイスターソース、豆板醤、甜麺醤といった基本の調味料があればなんでも作れるから、塩分が多い市販の合わせ調味料は使わない。味付けを複雑にしないことも、減塩につながるそう。
「いろいろな料理に、ニンニクと生姜を使いますね。味に深みが出て塩に頼らなくて済むんです。味噌汁や清まし汁は、昆布と鰹節でしっかりと出汁をとる。そうすると塩や味噌は少しで済みます。調味料を食べるのではなく、素材自体の味を味わうようにすれば、自然と塩分摂取は減っていきます」
そんな佐々木さんの、普段の料理を見せてもらった。