からだ

予約の取れない鍼灸師に教わる、ペットボトル温灸と爪楊枝鍼。

古来、中国ではツボを鍼や灸で刺激して不調を治してきました。でも、ツボの位置を正確に探り当てるのは難しくありませんか。予約の取れない鍼灸師と呼ばれる若林理砂さんが、誰でもツボ養生ができるようにと編み出したペットボトル温灸と爪楊枝鍼をお試しあれ。
  • 撮影・岩本慶三 文・石飛カノ

正確なツボの位置より体の反応を優先する。

ツボ刺激によって体調を整える。これは鍼灸院での施術に限った話と思われがちだが、ツボ療法はセルフケアでも十分可能。まずはツボについて鍼灸師の若林理砂さんにレクチャーしてもらおう。

「ツボの正式名称は“経穴”と言って体内エネルギーの出入り口に当たります。複数のツボがネックレスのように連なったものがエネルギーの道すじの“経絡”です」

不調が現れている場所から遠くに位置するツボを刺激して効果が得られるのは、この経絡の流れがあるから。体表のツボ刺激で内臓の不調が改善するのも同じ理屈。

「ツボは日によって凹んだり出っ張ったりするので、お灸で熱を加えたり、逆に鍼で熱を散らします。刺激して心地いい、または痛いという場合は効いている証拠」

とくに若林さんが推奨しているのが、素人でも安全にできるペットボトル温灸と爪楊枝鍼。

「どちらも皮膚に当たる部位が大きいので、目安の場所を刺激することでツボに当たる確率は高いと思います。体の反応を観察しながら試してみてください」

ペットボトル温灸

ホット専用のペットボトルに水を3分の1入れて、残り3分の2に沸騰直前のお湯を加える。蓋を閉めて軽く振って混ぜ合わせたものを利用。台座付きもぐさと同等の熱刺激に。

【三陰交(さんいんこう)】

★内くるぶしのてっぺんに小指をつけて親指以外の4指を当て、人差し指の下の骨の際が三陰交。ぺットボトルの側面をツボ周辺に当てる。

筋肉や血液を司る「肝」、生命エネルギーの源の「腎」、消化吸収に関わる「脾」の3つの経絡が交わるツボ。これらの経絡の効果が期待できるほか、婦人科系の不調改善に効果が望める。

【風池(ふうち)】

★髪の生え際部分に親指を当てると、首から肩を覆う僧帽筋という筋肉の両端に突き当たる。ペットボトルの底面角をピンポイントで当てる。

文字通り、「風」の邪気が「池」のように溜まるポイント。熱っぽい、咳が出るといった風邪の諸症状に効果を発揮する。頭痛、首や肩のこり、自律神経失調症などにも対応。

【失眠(しつみん)】

★かかとの真ん中を押したときにひびきを感じる部分。椅子に座り、床に横にしたペットボトルの上にかかとを乗せて温めるとラク。

失眠は経絡上には位置していないが、高い効果で知られているツボ。その名の通り、失われた良好な睡眠を取り戻すツボ。体の中でもとくに硬い場所なので、お灸による熱刺激がベター。

爪楊枝鍼

10〜20本程度の爪楊枝を輪ゴムで束ね、爪楊枝の先端でツボ周辺を刺激する。軽めに3〜4回、トントン刺激することで滞っている熱を散らし、過剰なエネルギーを取り去る。

【百会(ひゃくえ)】

★耳の上の一番張り出している突端を結んだ線と体の中心線が交わるところが百会。爪楊枝鍼の先端を真上から押し当てて刺激。

「百」にも及ぶ多くの経絡が「会」しているため、万能ツボとも呼ばれる。頭痛、耳鳴り、下痢、痔、鼻づまり、ストレス、不眠、冷えなど、多くの症状の改善に有効とされている。

【合谷(ごうこく)】

★人差し指と親指の間の水かきの上、やや人差し指よりにあるツボ。水かきに対して垂直に爪楊枝鍼の先端を当ててトントン刺激。

百会と同様、このツボも多くの症状の予防や改善に役立つ。頭痛、目の痛み、耳鳴り、歯の痛み、ニギビやおできなど首から上に現れる症状のほか、大腸の不調改善やストレス緩和にも。

【腎兪(じんゆ)】

★ウエストライン上、背骨から指2本分離れたところ。指で押すには力が入りにくい場所にあるツボは、楊枝の先端を当てて刺激すると効果的。

五臓の中で生命エネルギーの源を司ると言われている腎。その経絡上にあるツボで、腎臓の働きを促すほか、腰痛、足腰のだるさ、月経不順、耳鳴りなどにも対応する。

若林理砂

お話を伺ったのは

若林理砂 さん (わかばやし・りさ)

鍼灸師

高校卒業後に鍼灸免許を取得。早稲田大学文学部卒業後、2004年にアシル治療室を開院。新規患者の受け付け不可能、予約の取れない鍼灸師。セミナーや著書で養生の大切さを説く。

『Dr.クロワッサン 不調が消える、ふだん漢方』(2020年1月28日発行)より。

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