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夫や同僚、家族に友人…人間関係由来のストレスを軽減するには?

人間関係、自己承認欲求、災害不安など、ストレスの元凶はさまざま。自分に合った軽減策を知り、少しでも心地よく暮らしたい。ストレス対策のプロ、医学博士の横倉恒雄さん、公認心理師の小倉千枝さん、アサーティブジャパン代表の森田汐生さんに聞きました。
  • イラストレーション・山口正児 文・板倉みきこ

 人間関係由来 のストレス

一般的にストレスを生じる原因のナンバーワン。家族など、関係性が近い相手ほど自分の思いは強くなり、単純に解決できない。

夫との関係が行き詰まっている。かといって別居するのも面倒。

お互いの言い分が山のように蓄積した夫との関係から生じるストレスは、一朝一夕で解決しない。

「数十年積み上げた関係性を変えようとするなら、長い時間がかかるので結論を焦らないで。お互いに折り合いをつけてこの関係を作ってきたのは自分自身でもあると受け止めること。そこからがスタートです」(森田さん)

次にするのが自分の思いの整理。

「相手の良い点は何か、変えたいものは何か、自分はどんな関係を望むのか。怒りや悲しみが湧き上がるかもしれませんが、なるべく客観的に〝棚おろし〟をします。夫には『今後違うやり方や関係性を望んでいる』ことだけを伝え、相手にも考える時間を与えて。自分も変わることを忘れずに対話を重ねながら、関係性を少しずつ変化させていってください」(森田さん)

会社の20代と感覚が違い過ぎて疲れる。

「まずは価値観が違うことを受け入れないといけません。これくらい常識だと思うからストレスになるのです。使っている言語も考え方も全く違うくらいに割り切って向き合いましょう」(森田さん)

注目するのは「相手」ではなく、「起きた問題」。例えば重要事項の連絡が「LINEで来る」のが悪いのではなく、「こんな問題になるから改めて」というふうに。

「職場では、いい仕事をし合える関係を築くことを目指すもの。その前提を踏まえ、起きた事実を具体的に、責めずに相手に伝えましょう。そしてそれにより困っている状況を話し、最後に、次回からはこうしてほしいとお願いします。これは、相手の立場や考えを尊重した言い方なので、言われたほうも心を開いて問題と向き合え、解決が早まります」(森田さん)

会っても自分の話ばかりする友人や、愚痴の多い友人。 断りたいのに断れず。

友人との関係は、時間や回数など自分次第である程度調整できる。

「物理的距離が心理的距離となるので、誘いの2回に1回は断ったり、LINEを読むスピードを遅くしたり、たまに返信しないなど、関係がこじれない程度に少しずつ距離を置いてみましょう。また、一方的に話す人は、自分のタイミングで感情をぶちまけているだけ。タイミングがずれれば、話したい気持ちもトーンダウンするタイプなんです」(小高さん)

一方で、相手を依存させている傾向がないかも振り返ってみる。

「自分がしてきたこれまでの態度が、呼べば来てくれる人、言えば聞いてくれる人、何でもやってくれる人と相手に思わせてしまったのかも。今の関係が嫌だと思うなら、気づいた時点で対応を変えていきましょう」(小高さん)

接客業に従事。理解を超えたクレームは耐えがたい。

最近ではカスタマーハラスメントという言葉も認知され、法整備が進んでいることは知っておくべき。

「自分で対応すべきことと、度を越したこととの線をしっかり引きましょう。法律で処理する案件なら、ビデオなり音声なりを録っておき、相応の対応を」(森田さん)

自分で対応すべきクレームなら、処理するスキルを上げればいい。

「前提として、批判やクレームを自分自身の胸に刺さないこと。また、誠意を持ち、話すスピード、トーンに気を配りましょう。その上で、たとえ同意できない内容でも、まずは謙虚に相手の感情を一旦受け止める。すると相手は落ち着いてくるので、具体的な事実を聞きます。最後に、どうしてほしいのか、本人の望みを聞きましょう。経験を積むことで対応スキルは上がっていきます」(森田さん)

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