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3人にひとりが持っている!?子宮筋腫の真実が知りたい。【前編】

抱えている人が多い子宮筋腫。「良性だと聞いているけど、悪くならない?」「がん化はしないって本当?」。最新の治療情報を含め、婦人科医の松村圭子さんが徹底解説します。
  • 撮影・黒川ひろみ イラストレーション・山口正児 文・板倉ミキコ

Q.子宮筋腫は どういう病気なのですか。

A.命に関わらない良性の病気です。

子宮筋腫は子宮の筋肉にできるコブ、良性の腫瘍のこと。

「腫瘍=がんと勘違いし、診断を聞いて狼狽される人がいますが、子宮筋腫の腫瘍は良性。どんなに大きくなっても、がんのように健康なほかの組織を破壊したり、転移したりしないので、命に関わる問題にはなりません。婦人科疾患の中で最も多い病気で、成人女性の3〜4人に1人は筋腫を持つと言われているほど。ごく一般的な病気です」(松村さん)

子宮筋腫は発生する場所によって、大きく3つに分けられる。

「子宮筋腫の約7割に当たるのが、子宮の筋肉の中にできる筋層内筋腫(きんそうないきんしゅ)。子宮の表面を覆う漿膜(しょうまく)の下にできるのが、漿膜下筋腫(しょうまくかきんしゅ)。数は少ないけれど、一番症状が出やすく発見が早いのが、子宮内膜のすぐ下に発生する粘膜下筋腫(ねんまくかきんしゅ)です」

子宮筋腫は大きく分けて3種類。

Q.子宮筋腫があると、どんな症状があるのでしょう。

A.月経痛や、過多月経です。

初期の子宮筋腫は自覚症状が少なく、できていても気づかないでいる人も多い。ある程度大きくなったり、粘膜下など発生場所によっては様々な症状が出てくるという。

「良性とはいえ、進行すれば不都合な症状は起こります。多いのは月経痛や過多月経。子宮内膜に近い場所にある筋腫ほど、経血量に影響を及ぼします。過多月経に伴う貧血症状も問題になるでしょう。以前に比べて疲れやすい、めまいやだるさがある、最近階段の昇り降りで動悸がするなどの場合は、筋腫による貧血が原因かもしれません。また、筋腫の存在が血管や腸、膀胱を圧迫することで、腰痛、便秘、頻尿なども起こります」

子宮筋腫が原因で起こりやすい症状。

よく見られるのは、月経痛、過多月経、圧迫症状、下腹部のしこりなど。

Q.子宮筋腫を予防することはできますか?

A.残念ながらできません。

子宮筋腫の発生原因は、現時点でまだはっきりと分かっていない。

「原因が分からないので、予防法はありません。ただ、卵巣から分泌される女性ホルモンのエストロゲンが、筋腫の成長に関係していることは広く知られています。諸説ありますが、子宮がエストロゲンに晒されている期間が長いほど、筋腫が育つ可能性が上がると考えられます。昔に比べて月経の回数が増えた現代女性は、その分リスクを抱えていると言えるでしょう」

では、ピルを服用し月経をコントロールすれば筋腫の発生や成長もある程度抑えられるのだろうか。

「ピルの服用で過多月経や月経痛の改善が期待できます。でもエストロゲンに似た作用があるので、筋腫の成長を促す可能性も否定できません。ピルで筋腫のリスクは下げられないのです」

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