80年代のアイドルシーンに、焼けた肌とスポーティーな魅力を振りまき登場した、早見優さん。ハワイ育ちというプロフィールのせいか、どこか大人びた雰囲気があり、瞬く間にトップアイドルに。そんな10代の頃から、かわいらしさよりかっこよさを感じるファッションが好きだったそう。
「私がファッションに興味を持ち始めたのは、’80年代。映画『フラッシュダンス』に出てくる女優のような、セクシーなスポーツスタイルや、日本で流行った肩パッドが入ったボディコンのワンピースにハイヒールも履きました。常に意識していたことは、ハイヒールを使って脚を長く見せたり、ピタッとした服でメリハリを作るなど、体を美しく見せるということ。その時代の名残があるのか、今でも靴を選ぶとなると、ついついハイヒールに手が伸びてしまうんです」
普段は落ち着いた色みの、少しクールな印象の服装が多い。体にぴたっと寄り添うような服が好きで、よく身につけるのはレザーのアイテム。
「10代の頃からレザーは好きで、タイトスカートにジャケットにと、たくさん持っています。日本では年中活躍するわけではないですが、例えば海外に行くと、一日の中で気温が大きく変わることも多く、一枚あると意外に重宝するんですよ」
とはいえ、時代とともにファッションの流行も変わるもの。気がつくと、どことなく一昔前のバランスで服を着ていると感じることも多々あるとか。
「特に最近、スニーカーが流行っていることもあり、私もカジュアルな着こなしに挑戦してみたいと思うんです。娘と買い物に行ったときに、思い切って私もスニーカーを買ってみたんですが……。家に帰ってきてデニムやシャツと合わせてみたら、おしゃれとは程遠い、普通のアメリカの子どものような感じになってしまって。夫と近所にランチに出かけるときや、娘とコンサートに行くときなどに着られる、適度に力が抜けた、おしゃれなカジュアルスタイルが知りたいです」
その悩みを受け、スタイリストの野崎美穂さんが早見さんに提案したのは、ワイドパンツに白いスニーカー、そしてトップスは、とろみのある素材が素敵なブラウスのコーディネート。「最も私と遠いところにあるスタイルですが、まさに理想のカジュアル!」と、早見さん。
ワイドパンツはマットな質感の厚地のコットンリネン。トップスは光沢感があるやわらかい素材を合わせて、質感に変化をもたせた。
「袖をめくったり、胸元のボタンを開けたりしてバランスを調節。歳を重ねて成熟した女性ならではの、手首や鎖骨の骨の美しさは、カジュアルな中にも大人の魅力を際立たせます」(スタイリスト・野崎さん)
そして足元は、念願のスニーカー。丈の長いワイドパンツにぺたんこ靴というバランスは、早見さんの中では〝ありえない組み合わせ〟だった。
「早見さんは〝私だったら絶対ヒールを選んでしまう〟とおっしゃってましたが、スニーカーにすることで、今のバランスが作れます。足首が見えないほうがおしゃれなので、ぜひハイカットを選んで。もちろんコンバースのような布のスニーカーでもよいのですが、レザーを選ぶことで、よりコーディネートが締まるという効果もあります。履きなれない人は、白を選ぶと間違いがないでしょう」(野崎さん)
また、手に持った小ぶりなクラッチバッグもよいアクセント。
「普段荷物が多い私にとって、こういうバッグは憧れでした」(早見さん)
「大きな荷物は、さりげない布バッグに入れ、〝これはコーディネートとは関係ない、荷物です〟という風情にするのがコツです」(野崎さん)