いったいどこに連れていかれるのだろう、という予測不可能な怖さが全編に漂うが、オチらしいオチはない。
「僕らが日常だと思っていることでもほんの少し軸足を変えると違って見えますよね。人生って物事は思いどおりにはいかないし、予想もつかないことが起きるし、そういう状況になったとき、人はどんな行動をとるのかということに興味があるんです」
不条理な展開の中に、日頃、その辺で見かけるのとまったく変わらない猫が当たり前のように登場するのも本書の特徴だ。
「猫は世界中どこへ行っても、だいたい同じような大きさで同じようなことをしている。ある種の普遍です。猫は、誰かの役に立とうとたぶん思わないで生きているでしょう。この本もそんな感じで書きました」