20代で結婚したものの、厄介な夫と姑に振り回される生活を送る留津。一方のルツは、研究所の技官の仕事が性に合い、奔放な恋愛を経て独身のまま40代を迎える。
全然違う人生なのに登場人物はほとんど同じ。でも、出会うタイミングや環境が違うだけでここまで関係性が変わっちゃうんだ、という驚きがありました」
もっとも濃密に描かれる40代は、川上さんいわく、「起承転結の “転” の時期」。留津は家庭以外の生きがいを見つけ、ルツは結婚に憧れを抱いていく。幸と不幸、明暗分かれるのかと思いきや……。
「例えば留津のように大変なことの多い人生でも、人はそれなりに適応して、うまくやっていくものなんですよね。絶対に不幸だったり、絶対に幸福だったりする人生はないんじゃないでしょうか」