母親さえ心配するほど内向的で、ほとんど喋らなかった子ども時代。中学生になってからはいじめも経験した。人生を変えたくて飛び込んだ芸能界でも悩みはつきない。
「その救いになったのが本でした。本を読む動機は人それぞれですが、私には慰め。自分を慰めるための読書だったんですよね。読むことで一瞬が救われる。その繰り返しが私を支えてくれたんです」
また、書くことも中江さんにとっては大切な表現手段だった。
「子どもの頃は人に何か伝える、言葉に出すことが下手だった。だから書いて言葉にするほうがうまく伝えられると思っていました」
アイドルから女優へ。事務所からの独立、脚本家としてのチャレンジ。本の仕事が増え、文学についての体系的な知識が欲しいと、35歳を過ぎて大学で日本文学を専攻した。本はいつも中江さんの傍らにあった。