入社後すぐに配属された漫画誌で梶原一騎の『男の星座』の連載が鳴り物入りで始まった。
「梶原さん自身が “これは完全なる自伝である” と予告して、漫画界のことも芸能界のことも実話で全部書くって宣言したんですね。それで連載スタートの書き出しが、 “私、梶一太は……” って、そこを仮名で始めちゃうツカミのうまさに感嘆した記憶があります。『編集ども集まれ!』に書いた内容はすべて実話ですが、私こと小笹一夫というのは本名に近い仮名ですし、登場人物の一部も仮名にしました」
’85年から’93年までの漫画界のトピックや編集部の逸話が作中にちりばめられていて、漫画好きにはたまらない。その中に身を置いて、自己表現に目覚める小笹一夫こと笹子……藤野千夜さんの、この小説は「女の星座」である。