裏の裏もあったり……私には葛藤があって、エンターテインメントを書く上では善と悪をはっきり分けて勧善懲悪にしたほうが読みやすいと思うんですが、どうしてもそれができない。悪を悪として断罪しないまま、結局いい人まで悪い人になって終わっちゃう(笑)」
とくに皐月の母親の、幾重にも折り重なる娘への干渉ぶりが印象に残る。愛憎が重苦しい。毒親かなと思って読み進むと、祝言島の呪いで皐月に二重苦、三重苦を及ぼしていたと徐々にわかって怖い。
「設定も複雑だし、登場人物も多いし、時系列も前後しますが、それでも楽しんで読めるようにと心を配っています。人物も設定もシンプルにしたほうがいいのかなと常に悩みますけれど、そういうのはほかの方に任せて、余韻が楽しめる作風を私自身つきつめようと、昨日お風呂で覚悟しました(笑)」
一大決心の翌日にインタビューできるとは……設定は複雑だけど読みやすい真梨さんの作風、ぜひ、つきつめていただきたい。
「小学生の私が夢中で小説を読むようになったのは、横溝正史の作品がきっかけなんです。