「極論を言えば、タイトルさえもらえれば表紙のデザインはできるけど、僕の場合、それが “どうありたい” 本かを知ることが重要。だからきちんと原稿を読むことが必須なんです。例えば、貧困問題を告発したい本なら断言調の強いデザインのほうがいいし、著者の逡巡が温かみにつながるようなエッセイならその曖昧なニュアンスにマッチする柔らかいデザインがいい。それを掴んだら、タイトルの大きさや、絵や写真を入れるかということが決まってくるわけです」
さらに「その本が “あるべき世界” を想像する」と、自然と装丁の方針が定まってくるという。本書の場合はどうだろうか?
「この本はトイレか風呂(笑)、それか鞄の中に入れておきたいかな。考え事をしている時にふと取り出して、適当にページをめくると思考のヒントが見つかる、みたいな。だからソフトカバーで、文字組みはギュッと詰めたものにしました」