『Halo』川内倫子さん|本を読んで、会いたくなって。 | 読む・聴く・観る・買う | クロワッサン オンライン
読む・聴く・観る・買う

『Halo』川内倫子さん|本を読んで、会いたくなって。

本は身体を使って感じられるもの。

かわうち・りんこ●1972年、滋賀生まれ。写真家。『うたたね』『花火』で第27回木村伊兵衛写真賞受賞。これまで19冊の写真集を刊行。’13年発表の『あめつち』に続き、本書も世界4カ国で刊行予定。http://www.rinkokawauchi.com/

撮影・藤田はるか

「タイトルの意味は、円光とか後光……あと、銀河系の球状星団の総称で。どちらも自分のモチーフにつながるなと。禅における “円相” のような、円を描くような気持ちで作っているというのもあるし、今回粒状の被写体も多いんですけど、宇宙の広大な広がりも、引いてみたら、小さな粒のように見える。そういうメタファーでもあるんですね」

吸い込まれそうな夜の海、夕闇の空を渡る無数の鳥、暗闇にぶちまけられる金の星。カバーも本体の小口さえも黒で統一した造本は、写真の “光” をより強く感じさせる。’02年の木村伊兵衛写真賞受賞以来、世界で活躍する写真家・川内倫子さんが4年ぶりに発表したオリジナル写真集は、一枚一枚の写真を際立たせると同時に、物としての存在感も美しい。小さな頃から本好きで、将来の夢は、「本を出す人になりたい」だったと言う。

「もちろん、それが写真集だとは思ってなかったですが、今考えると夢がかなったのかなと。本を開くと、現実からはなれて違う世界に飛びこめるというのは、ある種、救いのような、貴重な時間だったんです。

手を使って触ったり、めくったり。本の重さ、そのにおい。本は自分の身体を使って感じられる。やっぱりいいなあって」

写真は光と影の芸術。本書を手にするとその思いはいっそう強くなる。暗闇が焼きつけられ、光が紙を裂く。これまでフィルムを使うことが多かったが、今作は全編デジタル機材を採用し、その表現世界を深化させた。

「デジタルでしか撮れないものがあるから。とくに今回は夜の撮影が多かったので必然性がありました。イギリスで夜の空を飛ぶ鳥の群れを撮影しましたが、速い動きも、その一瞬をデジタルだと捉えることができる。鳥の撮影は全然飽きなかったですね。英語で撮影をシューティングと言いますが、まさに狩りのようでした」

これまで途切れることなく個展を催し、写真集を発表してきた。が、子どもが生まれ、今はプライベートな時間を過ごすことが多いのだという。

「以前は、ワーカホリックというか、どこか焦っていたところがあったのかもしれない。でも、モチベーションも変わり、ここで一区切りするのもいいんじゃないかなって。人生の中でそういう時期があってもいいと思えるようになりました。落ち着いたら、写真集の形態にこだわらず、何か違う形を、と思っているところです」

HeHe/Aperture 7,800円

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

この記事が気に入ったらいいね!&フォローしよう

SHARE