その答えは本書にすべて用意されているが、なかでも清水さんが一番驚いた事実は、「三権分立が形骸化している、ということです」。
近代民主政治の根幹である三権分立は司法、立法、行政が独立し相互間の抑制と均衡により権力の暴走を防ぐシステム。国会に立法権、内閣に行政権が付与され、それらが暴走した場合に違憲立法審査権を持つ裁判所が権力チェック機構として機能するはずなのだが。
「たとえば、『一票の格差』を巡る訴訟で最高裁が下した判決は『違憲状態』。合憲と違憲の間という何とも意味不明なものでした。民主主義国家にとって、有権者の一票の価値が違うなんてことがあっていいはずがありません」