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『インタビュー』木村俊介さん|本を読んで、会いたくなって。

だからインタビューはヤメラレナイ。

きむら・しゅんすけ●1977年、東京都生まれ。東京大学在学中、ノンフィクション作家・立花隆さんのゼミがきっかけで、インタビューの面白さに目覚める。著書に『変人 埴谷雄高の肖像』『善き書店員』、単行本構成に『イチロー262のメッセージ』ほか多数。

撮影・尾嶝 太

「参考までに持ってきました。これ、出版社に渡した生原稿です」

木村俊介さんがカバンから取り出したノートを見て、思わず椅子から立ち上がってしまった。A5くらいの小さなノートが、細かい手書き文字で埋め尽くされているのだ。

「編集の方はたいへんだったと思いますよ。ぜんぶパソコンに打ち込んでいるんですから(笑)」

これまで1000人以上のインタビューをしてきた、聞き上手による指南書。そう思って気楽に読みだすと、いきなり足をすくわれる。これは実は、語り手の思いをわかりやすく伝えるインタビューの名人が、インタビューについてこれまで書かなかった、言葉にはならないドロドロした思いをすべてさらけ出した記録なのだから。

「パソコンで文章を書いていると、無限に書き直してしまうでしょ。そうではなくて、映像を長回しで撮るように、書き直しはナシでやってみたいと思いまして」

インタビューとはなにか、なんのために聞くのか? インタビューになにができるのか? 正直、読んでいて意味がわかりにくい部分、未整理に見える部分もあるが、
「ぼくはプルーストをよく読みますが、生煮えの部分もふくめてすごく好きなんです。そういう割り切れない部分も詰め込んで、読者にゆっくり消化してもらいたい。そういう、昔ながらの読書のあり方を踏襲してみたかったんです」

確かに木村さんの思考の流れに沿うように読み直すうちに、木村さんと一緒に歩き、考え、なにかを探している気持ちになってくる。

「インタビューで何時間も一緒に過ごしていると、周囲の音もなにも消えて、話し手と聞き手が一体になることがあるんです。それが人との出会いというか、そんなふうに人の中に入り込むことが冒険なんだなあって気がしています」

本の後半にいくにつれ、インタビューというものが、木村さんのライフワークを超え、ひとつのよろこびになっているのを感じる。

「そう、よろこびなんです。このよろこびを、もっと多くの人に知ってもらいたい。なんでもいいから一度、考えていること、抱えていることを言い切っちゃう。インタビューを道具として、まとまらない考えをまとまらないままとどめておくものとして、楽しんで使っていただきたいと思いますね」

今回の取材をすべて文字に起こしたら1万字くらいになった。その面白いことと言ったら! 木村さんが、インタビューがやめられない理由が少しわかった気がする。

ミシマ社 2,200円

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