作家や書家、イラストレーターなど “味のある字” を書く人にも取材を重ね、手書き文字が持つ魅力を引き出している。
「デザイナーの寄藤文平さんの “字を図形的にとらえる” という発想は新鮮でした。『文』の下の部分を×にしちゃうとか、幾何学的要素を入れて書く。あと、文字と文字の間を開き気味にすると “いい感じの字” に見えるとか」
それまで考えなかった道具にもこだわるようになったという。
「筆記具は大事ですね。多少太めで、腰のあるペン先のほうが字に味わいが出ますし、形のゆがみもごまかせます。弘法じゃないですから、字が下手な人こそ筆は選ぶべきです(笑)」
就職時の履歴書や、親になると子どもの小学校での連絡帳などは、メールやライン全盛の今でも手書きが要求される。またレストランのメニューや書店のポップなどでは味のある手書きを目にする機会も多い。