本書の中で明かされていないが、実は姉弟である俳人と写真家。しかし、大竹さんは血のつながりがこの本の出発点ではないと語る。
「たまたま姉弟だった、というくらい。むしろ感性の共通性というか、彼らの世界の見方が響き合うということのほうが重要で、そこがこの本の軸となりました」
森山さんの写真は空間ではないと大竹さんは指摘する。写っているのは物体ではなく時間なのだと。
「時間の層、時のレイヤーですよね。物をぐっと押しつぶしてぺたんこにして印画紙に焼き付けてい るような写真。そして内田さんの 句も、思い浮かんだ言葉を投げたら壁にペタッと張り付いたというような、情感を挟まないフラット感が特徴です」
編集にあたり、まず大竹さんは句を選び、写真集に入っていない森山さんの写真にも目を通して組み合わせを考えた。写真のど真ん中、被写体を切り裂くように句が配された見開きも。