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『何がちがう? どうちがう? 似ている日本語』佐々木瑞枝さん|本を読んで、会いたくなって。

使い分けが難しい日本語を厳選しました。

ささき・みずえ●1942年、京都府生まれ。武蔵野大学名誉教授。現在、金沢工業大学、池袋コミュニティ・カレッジで講義を行っている。近著に『クローズアップ日本事情15』(ジャパンタイムズ)。http://www.nihongonosekai.com/index.html

撮影・小出和弘

「挨拶する」と「会釈する」。その違いをひとことで説明するとしたら? あるいは「本心」と「本音」の違いは? 日本語学者として大学で教壇に立つほか、外国人に向けての日本語教師の養成も行っている佐々木瑞枝さんの最新刊は、似ている日本語の微妙なニュアンスの違いを簡潔な文章でわかりやすく解説する。

「日本人は小学校から国語教育で日本語を勉強して、日常生活のなかで言葉を学んでいきます。ただ漢字や敬語のように似ている日本語については学ばないので、使い分けることまで意識がいかないんです。今回の本では、2ページ単位でふたつの言葉の違いをイラストと例文も入れながらひと目でわかる構成にしました」

ちなみに最初に挙げた例の違いは、実際に声に出して言うかがポイント。たとえば「挨拶する」は「こんにちは」など必ず言葉を伴うのに対して、「会釈する」は軽く頭を下げる行為のことを指し、言葉を伴わない。同様に「本心」は隠れている本当の気持ちであり、「本音」はその気持ちを言葉に出して言うことである。

「外国人に教えるときに難しい日本語も取り上げました。たとえば『たった』と『ほんの』で言えば少なさを強調するのが『たった』で『ほんの』というと、少しという意味と謙譲の気持ちがこもります。こういった言葉のイメージの違いは外国人になかなか理解してもらえないですね。今でも『たったのお土産ですけれど』と日本語を勉強している留学生から話しかけられたりします」

「〜のおかげで」といえばプラスの意味になるが、「〜のせいで」といえばマイナスの意味が強くなる。「だろう」をつけると主観的な推量になるが、「らしい」と結ぶと他の人から聞いたことなど客観的な根拠をもとにした推量になる、など取り上げている73の事例を読んでいくうちに、なにげなく使っていた言葉の明確な違いがわかるうえに、日本語が持つ奥深さも実感できる。

「日本語は日本固有の言葉である和語や、中国から来た漢語や外来語など語彙も豊富です。30年近く日本語を教えていますが、今でも面白いですし、興味やネタが尽きませんね(笑)」

これまで似ている言葉の違いを「あやふや」なまま「うやむや」にしていた人には必携の一冊だ。(ちなみに「あやふや」と「うやむや」の違いもぜひ本書でご確認ください)

東京堂出版 1,200円

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