「外国人に教えるときに難しい日本語も取り上げました。たとえば『たった』と『ほんの』で言えば少なさを強調するのが『たった』で『ほんの』というと、少しという意味と謙譲の気持ちがこもります。こういった言葉のイメージの違いは外国人になかなか理解してもらえないですね。今でも『たったのお土産ですけれど』と日本語を勉強している留学生から話しかけられたりします」
「〜のおかげで」といえばプラスの意味になるが、「〜のせいで」といえばマイナスの意味が強くなる。「だろう」をつけると主観的な推量になるが、「らしい」と結ぶと他の人から聞いたことなど客観的な根拠をもとにした推量になる、など取り上げている73の事例を読んでいくうちに、なにげなく使っていた言葉の明確な違いがわかるうえに、日本語が持つ奥深さも実感できる。