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『迷走患者 〈正しい治し方〉はどこにある』岩瀬幸代さん|本を読んで、会いたくなって。

代替医療の限界も伝えなくてはいけない。

いわせ・さちよ●海外旅行ライターとして20年以上、雑誌などで活躍。スリランカに惚れ込み渡航は40回以上。2007年、スリランカ大統領賞(外国人ジャーナリスト部門)受賞。著書に『緑の島 スリランカのアーユルヴェーダ』(晶文社)など。

撮影・岩本慶三

海外旅行ライターの岩瀬幸代さんが、特殊な病気を患い入院を余儀なくされた。本書は、西洋医療と代替医療の狭間で悩み、迷走しながら病気と向き合った記録だ。

「どんな取材も体当たりが私のスタイル。あらゆる “医療の選択” にも体当たりで突き進みました」

後に「多中心性キャッスルマン病」というリンパ節腫脹が特徴の難病と診断された岩瀬さんの病気は、2008年、足の激痛から始まった。徐々に悪化し、2013年に入院。ステロイドなど薬の副作用にも苦しみ、「これは正しい治療なのか」と葛藤の連続だった。

「もともとスリランカのアーユルヴェーダを長年取材していたこともあってステロイド治療にはかなり抵抗があり、反発もしました」

納得できないと同意しない、疑問があれば医師にも立ち向かう。岩瀬さんの “言いなり” ではない医療との付き合い方には驚かされる。選択肢の多い時代、患者に求められる姿勢なのかもしれない。

「他の方法はないものかと、アーユルヴェーダや漢方、温泉療法などさまざまな代替医療を試したけれど、あまり効果は得られなくて。信じて広めてきたアーユルヴェーダも思ったほど効かないという事実に、最初はすごく落ち込みました。でも、アーユルヴェーダの恩恵を受けた人たちの声をずいぶん聞いていたので、私の病気にはたまたま効かなかったんだと思えた。ただ書き手としては、自分が経験したアーユルヴェーダの限界も伝えなければフェアじゃない気がして。それでこの本を書き始めました」

同時に直面したのは、日本の医療における「選択しなきゃいけないつらさと選択できないつらさ」だ。

「医療を受けていると治療法や検査について、『どうしますか?』と言われ、患者主導で決めなければいけない場面は多い。一方で、代替医療を試したくてもけむたい顔をする医師が多く、大手を振って選択できないつらさも。私は理解のある先生に出会えて、最終的には漢方やアーユルヴェーダを、薬の副作用や痛みの軽減に使うことができました。西洋医療にも代替医療にも限界があるからこそ、補い合える関係が理想ですよね。統合医療が当然になってほしいです」

ステロイドの量も減り、今はほとんど普通に生活できる状態に。

「真の健康ってなんだろう?って考えるようになりました。診断結果や数値ではなく、生きている今を楽しい、幸せだと思える意識のほうがきっと大事。経験の末に得た境地を読者にも伝えたいですね」

春秋社 1,800円

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