同時期に『タコベル』というタコス屋さんを検索しようとして打ち間違え、偶然タコ部屋の情報を見つけて。それで、遊郭の女とタコ部屋の男、現代の男女の物語が生まれました」
タコ部屋とは主に明治・大正・昭和の北海道で、労働者を拘束して過酷な土木工事作業を行わせた労働環境のことだ。
「遊郭とタコ部屋はシステムが似ていて、借金のカタに売られ、返済するまで働かないと出られません。タコ部屋労働者は借金を返したら付き添いと一緒に町に出て、飲み食いしたり遊郭で遊んでまた借金を作り、タコ部屋に引き戻されることが多かったようです」
1914年に遊郭に売られた胡蝶と、タコ部屋に売られた麟太郎は北海道に渡る青函連絡船で出会い、網走の遊郭で再会する。せつなくて猟奇的な物語が繰り広げられ、現代の拓真と沙矢の波乱がどこか平和に感じられもする。