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『バレリーナ 踊り続ける理由』吉田 都さん|本を読んで、会いたくなって。

年を重ねさらに輝く、凛とした生きる姿勢。

よしだ・みやこ●1965年、東京都生まれ。10代で英国ロイヤル・バレエスクールに留学後、イギリスでプロのバレリーナに。2010年退団、拠点を日本に。「バレエ・フォー・ザ・フューチャー」(8月末〜)など公演も続々。blooming-net.com

撮影・森山祐子

確かなテクニックと叙情あふれる表現力でバレエ界の至宝と称されるバレリーナの吉田都さん。’84年からイギリスのサドラーズウェルズ・ロイヤルバレエ団に、’95年から英国ロイヤル・バレエ団に所属し、22年間にわたり最高位のプリンシパルとして活躍してきた。その華々しい経歴の裏で、吉田さんが感じてきたコンプレックス、プロとしての自覚なども興味深い本書。なかでも、日本に拠点を移して7年、50代を迎えたいまも現役で、フリーランスのバレリーナとして舞台に立ち続けていることに、尊敬の念を抱かずにはいられない。

「日々の身体の状態など若い頃とはやっぱり違います。鍛える時も、あきらめる部分はサッと切り捨て、どこを集中して強化するか、重きをおくところを考えるようになりました。これがつらい、あれができないと意識するより、ポジティブに。この年になって初めて気づくのは、やはり身体は応えてくれるということなんです。昨日はつらかったのに今日は動けるな、先週のトレーニングが今効いてきた、と前進しているのを感じると、うれしくてまたやる気が起きてくる」

そして、今の自分の踊りが「もっと好き」だとも。

「若いパワーでステップ技などを見せるのもバレエの醍醐味だけれど、人生経験を重ねていくことで出せる表現が増えて、引き出しが多くなる。それはバレエにはすごく大切なことなんです。アスリート系のトレーニングが必要だけれど、スポーツとはやはり違います。表現すること、アートな部分が」

とくに、言葉を使わないバレエには、言葉にならない感動がある。それは生の舞台を観ることで伝わってくるものが大きい。今、現役で踊っている人の舞台は、同時代に生きているからこそ体験できる、その偶然に感謝したくもなる。

「舞台の芸術ってそうだと思います。バレエをどう観たらいいのか聞かれることも多いけれど、なにかわからないけれどすごく心が動いたということを持って帰ってもらえれば、ダンサーとしてはとてもうれしい。これだけ長く踊っていても、いつ何歳の視点でその舞台に立ったか、観客の年代や状況によっても受け止め方が変わります。そこで生のパワーが一致したときの感動というのはかけがえがありません。私が子どものころに見たダンサーも、いまだに記憶に残っていますから。生の舞台って、それほど強烈なんです」

まさに「踊り続ける理由」。舞台に立ち続ける限りバレエ一筋という吉田さんがまとめた、メッセージの数々を受け止めたい。

河出書房新社 1,600円

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