信仰の道に入るのではなく、ごく普通に生きる人が、人生の糧として仏教を活用するにはどうしたらいいか。そのための具体的な方法が本書では語られていくのだが、とにかく魚川さんとプラユキさんの対比が面白い。とことん理詰めで、次々に鋭い問題提起をぶつけてくる魚川さんに対し、それを避けたりいなしたりするのではなく、懐でしっかりと受け止め、包み込むように答えるプラユキさん。そのやりとりは、まさに本書のテーマである〈智慧〉と〈慈悲〉の実践のようで、感動的ですらある。
プラユキさんは現在、瞑想を教えるだけでなく、さまざまな悩みに答える個人面談も行っている。内容は仕事上の悩みや恋愛相談も多いが、最近増えているのは瞑想を始めて、逆に心身の不調に陥ってしまった人の相談だ。
「本の中では〈瞑想難民〉と言っているのですが、瞑想時に集中しすぎて気持ちが落ち込んだり、感覚が過敏になってしまうといった症状を訴える人もいます」