福島から上京後に水商売に入ったときの初任給は1万4000円、その後、英語教材のトップセールスマンになり、稼いだお金で修正の薄いエロ本の販売で大儲けし、刑事たちに毎月600万円の “裏金” を渡してきたが、最後は北海道で逮捕されてしまう。保釈後、全財産は1万6000円になるも、今度はAVに転じて自ら監督した作品が大ヒット。年商100億円を誇る村西王国を築き上げるも放漫経営とバブルの崩壊も重なり破綻。8000万円のお金を捻出するために実際に血の涙を流す。全20章になるエピソードはどれも常人には味わえない振り幅で突き進む様子に圧倒される。
「どれだけ稼いでもその金をすべて次の仕事に使っちゃう。村西さんにとってAVは仮想通貨なんですね。だから50億の借金があって、それを返せるアテがなくても “そんな金額は射程圏内です”、と平然と言えてしまうんです」
そんな村西さんに心境の変化が訪れたのは46歳で授かった子どもと家庭だったと本橋さんは言う。