老後の貧困を回避するためには三方向の方策が必要だと、藤田さんは本書を通して訴える。
「自分で備える以外に、近所づきあいや友人などのコミュニティを持つこと、社会保障を求めていくこと。自助、共助、公助の3つが揃って初めて充分と言える。日本社会は後者2つが明らかに不足しています。特に社会保障は先進国でも最低レベル。ある程度増税してでも、年金などの保障を手厚くすべきというのが僕の考えです」
さらに、現代の家族をめぐる問題も高齢者が下流化してしまう原因の一つだと指摘する。
「老老介護や介護離職の問題はもちろん、子ども世代の貧困が高齢者を圧迫することも。先日も、長時間労働でうつ病になった30代の息子を養う高齢の女性から相談を受けました。子どもの病気や離婚など想定外の事態により、備えをしていたはずの高齢者が一気に転落することもあり得る。だからこそ、介護や医療は自助や家族ではなく、社会が担うべきなのです」