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『あなたのゼイ肉、落とします』垣谷美雨さん|本を読んで、会いたくなって。

ダイエットより、健康が問題かなと思います。

かきや・みう●1959年、兵庫県生まれ。明治大学文学部卒業。20年近くSE(システムエンジニア)として働く。2005年『竜巻ガール』で、第27回小説推理新人賞受賞を機に作家に。3月半ばに最新刊『嫁をやめる日』(中央公論新社)が出る予定。

撮影・千田彩子

いまや「ダイエット」と「片づけ」は日本女性の永遠のテーマ。垣谷美雨さんは小説『あなたの人生、片づけます』の中で、カリスマ整理収納アドバイザーの大庭十萬里に「どうにも部屋が片づけられない人は、こころに問題がある」と言わせていた。

「私自身は “片づけられない女” の正反対で、ものすごく少ないモノで暮らしています。バンバン捨てちゃうし、何か買うときもいつかゴミになるんじゃないかと考えてしまいます」

それは最近、体力が落ちてきたことによるところが大きいという。掃除が好きではないので、サーッと掃除機をかけて、パパッと拭き掃除すれば済むのが理想だからだ。では、ダイエットは?

「それがですね、中学時代からずっと体重が変わらなかったのに、40代半ばで急に太ってしまったんですよ。何事も綿密に計画を立てて取り組む私でさえ、全然痩せられなくて、10年くらい経ってしまいました」

本書は、そんな自身の経験を生かしながら、なぜ痩せられないのかを4人のケースで解き明かしていく短編集だ。

「太ってしまってわかったのですが、太ったオバサンというのは、日本ではバカにされる対象だと思うんです。私自身、デパ地下などで買い物をしているとき、若くてスリムな店員さんに、バカにされているのかな、となんとなく感じることがあります」

1話目の園田乃梨子49歳は、すごく美人だったのに、見る影もなく太ったことで、舅の葬式の際、「部下や同僚にお前の姿を見られると恥ずかしいから隠れていてくれないか」と夫から言われる始末。

そこで、ベストセラーのダイエット本の著者、大庭小萬里に、なぜ痩せられないのかを相談しようと決意する。きっと小萬里はスリムで上品なマダムなのだろうと想像するのだが、目の前に現れたのは、ポロシャツの二の腕がムチムチの小太りのオバサンだった。しかし、この小萬里は、乃梨子の家族関係や日常生活の中に潜む「痩せられない原因」を鋭い観察力によって見つけ出し、ジムに通うという新たな一歩を踏み出させる。小萬里のセリフはときに厳しく、ときに胸にズンと響き、読後は身も心もスッキリ気分爽快。

「私もジムに通うようになってから、爪は割れないし髪にもツヤが出てきました。痩せることよりも健康かどうかが問題なんだ、と最近思います」

双葉社 1,500円
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