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『女たちが、なにか、おかしい おせっかい宣言』三砂ちづるさんさん|本を読んで、会いたくなって。

女が愛の力を取り戻したら世界は変わります。

みさご・ちづる●1958年、山口県生まれ。津田塾大学国際関係学科教授、作家。京都薬科大学卒業。JICA疫学専門家、国立公衆衛生院勤務を経て、現職。著書に『オニババ化する女たち』、『女子の遺伝子』(よしもとばななとの共著)ほか多数。

撮影・尾嶝 太

 本書はウェブ雑誌「みんなのミシマガジン」の連載「おせっかい宣言」をまとめて書籍にしたもの。

「私より少し年上の団塊の世代は個人の自由を尊重して、他人の心配をするなんて余計なお世話という人たちでした。連載を始めた3年前は世の中もそうした空気でしたが、ここ最近は変わってきたように思います」

 と著者の三砂ちづるさん。三砂さんは「性と生殖」の分野で長く研究を続け、今は女子大で教壇に立つ。世界でさまざまな女性たちを見てきて思うのは、今の日本の女性は「なにか、おかしい」ということ。たとえば世の中には便利な家電製品があふれ、家事は劇的に楽になったはずなのに……。

「女性はぜんぜん楽になっていない。ほんとうに不思議。そして女たちは余った時間を家族と過ごすのではなく、朝早くから夜遅くまで子どもを預けて働いている。かわいそうなのは子どもたち。生まれてすぐ保育所に行きたいわけがないのに」

 もちろん女性が仕事をするのは悪いことではない。

「でも外に出て金を稼ぐことだけが意義があるわけではないでしょう。政府や産業界に踊らされて都合よく女性が労働市場に駆り出されているような気がします」

 自ら「おせっかい人間」という三砂さんは、「なにか、おかしい」と思ったテーマについて次々と切り込んでいく。そもそも日本人は愛する力が足りない、人間にとって大切な愛情や、セクシュアリティが欠けているのではないか、というのもそのひとつ。

「恐ろしいことに、日本では老いも若きもすべての世代でセックスレスが顕著です。私はラテンアメリカでの生活が長かったのですが、彼らはセックスレスなんてものとは無縁。それ以外に生きる目的なんてあるの?というくらい」

 なぜ日本人は、こんなにも愛が足りない人たちになってしまったのだろう?

「おせっかいをしなくなった私たち、周囲も悪いと思います。昔だったら相手を見つけられないとか、結婚に踏み切れない人がいても、親戚のおばちゃんや会社の上司が世話を焼いたものです。今は本人の自由という名の下に、ほったらかしでしょう」

 そんな世の中が変わるきっかけがあるとしたら、やっぱり女だと思っている。

「女性たち一人一人が、もっと愛にあふれた存在になるためにはどうしたらいいか、日々考えています。女性が愛する力を取り戻したら、世の中は変わると思いますよ」

ミシマ社 1,600円
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