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『晴れたら空に骨まいて』川内有緒さん|本を読んで、会いたくなって。

散骨で家族・友人の絆が深まった実話です。

かわうち・ありお●東京生まれ。2004年からパリの国連機関に5年半勤務した後、フリーの文筆家に。’14年、『バウルを探して』で新田次郎文学賞を受賞。ほか著者に『パリでメシを食う。』『パリの国連で夢を食う。』などがある。

撮影・森山祐子

「散骨」と聞いた瞬間、あなたはどんなイメージを持つだろうか。

「埋葬」とか「埋骨」「納骨」といった言葉につきまとう、暗く厳かな雰囲気とは違って、どこか明るくて開放的な清々しさを感じるかもしれない。

 本書は、大切な人をどのように見送ったらいいのか、故人を想いながらどう生きていくのか、散骨をテーマに「生と死」を真摯に見つめたノンフィクションである。

「もともと人がどう生きるのか、その人らしく生きるということはどういうことなのか、について興味がありました。自分らしく自由に生きている人を見るとワクワクしてくるんですね。今回の散骨にまつわるエピソードは、その興味の延長上にあったんだと、書き終わってから気づきました」

 8年間かけて世界中に散骨した母の友人、ロタ島に渡ってレストランを開き妻と死別した男、ヒマラヤの過酷な散骨に挑んだ大家族、旅の途中で客死した父親を見送った家族、インドで出会った友人を看取り、インドの川に還した装丁家……。5組の物語は、確かに自由奔放な生き方を全うした故人と、その家族や友人たちの深い愛情と絆に満ち溢れている。

「私自身、2005年に父が急に亡くなり、三周忌を機に父の故郷である福井の海に散骨しています。家族や友人家族なども交え、十数名で漁師である叔父の船上からワイワイとお祭りのように……。今もとても楽しかった思い出です」

 ’80年代までは「遺骨はお墓に」という社会通念が根強く、法的にも「死体遺棄」との境が曖昧だった。現在、自然葬への需要が高まるにつれ、「節度をもって行われる限り、罪にはあたらない」との見解が法務省から示されている。

「お墓を否定している訳ではありません。故人のためにこうしてあげたいと、それぞれの方法で供養している姿に共感を覚えたからです。故人の生き方や物語を、その人の死後も残ったものが紡いでいくって、素敵じゃないですか」

 川内有緒さん自身は散骨を希望しますか、との問いに。

「夫は地中海がいいかなって言うんですが、『すごく遠いんですけど』と即、却下(笑)。ヒマラヤなどと比べたら今は近く感じますけどね。これからじっくり考えます」

 本書を手にしたらブックカバーを外してみてほしい、と川内さん。天空に羽ばたいている一羽の大きな鳥のイラストは、きっと本書に登場している個性的な人々と重ねているに違いない。

ポプラ社 1,500円
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