それぞれのエピソードを読んでみると、子どもたちの捉え方がいい意味でライトなことに驚く。
「この本に出てくる子たちはインタビューに応じられるぐらい安定しているし、親に愛されている。ある子どもにとっては親の離婚というのは一つの要素でしかない場合もある。もちろん大きな要素ではあるけれど、学校のことなど含め、いろんな悩みが混在しているんですよ。みんな思春期ですから」
決して悲しい話にまとまっていないのは、紫原さんの思惑なのか。
「取材を受けてくれた子どもたちが、大人になってこの本を読み返したらどう思うか、という点は意識しましたね。今現在、仮に親を悪く言っていたとして、それは嘘のない気持ちかもしれないけど、活字になるとやはり強いですから。気持ちは変わるものだし、言葉には表れない思いもある。でも真実でないといけない。このバランスを取るのに注力しました」
“りこんのこども”は、決して不幸ではない、ということですか?